そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

フードマイレージ大国日本

2008-08-02 | 政治と金

フードマイレージとは、食べ物の重量に生産地から消費地までの距離を掛けたものである。輸送距離が長く、量が大きいと高くなる。食べ物にかかわる環境問題を表示するために、ヨーロッパで考え出された指標である。Photo

我が国は、世界の中でも断トツに高い。9000億t・㎞である。自給率が40%を切る状態では当然のことである。さらに、日本は畜産商品の伸びが近年著しく、家畜の飼料用穀物がこの数値を押し上げている。左の表をクリックして確認願いたい。

日本のフードマイレージが高い理由には、もうひとつ大きな特徴がある。輸入総重量の80%がアメリカであるということである。こうした意味でも、日本がアメリカに従属していることを示している。日本人は胃腑をもアメリカに牛耳られているのである。

その主たるものが、穀物である。9000億t・㎞のうち実に6000億t・kmを占めている。その輸入穀物の6割以上が家畜に給与されている。世界的な食料問題が起きている時代に、いつまでこの追うなアメリカ依存の穀物供給を家畜にするのだろう。安価な燃料を焚くことで、安価な穀物が供給される時代は終わりつつある。

フードマイレージが高いことは、輸送燃料がかかり環境への負荷が高くなることを意味している。日本の排出するCo2の20%は輸送によって排出されている。また、食料の健全なあり方を大きく変えることにもなっている。

食料は地域内で賄う、一般的な健全さを日本が放棄した結果でもある。食料供給が、環境へ負荷をかけることはそれ自体が大きな矛盾である。「地産地消」や「5里以内のものを食べろ」とは極めて含蓄のある、先人の言葉である。

日本のフードマイレージは、韓国の3倍近くもある。イギリス・フランスの4倍もある。日本は世界的に極めて異常な国家になっている。

それでは今どうするかという論議を徒にすることよりも、日本がこれまでとってきた農業政策の本当の姿を確認することの方が先にしなければならない。

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