トランプがアメリカ大統領になってちょうど2年になる。およそ大統領として最もふさわしくない人物、前代未聞の発言と行動を繰り返すこの男は、1ち年持たないうちにホワイトハウスから追放されると思っていた。ところがこの二年で追放されたのはトランプではなく、政権内の部下たちであった。この2年で追放された国務長官、司法長官、大統領補佐官ら政府高官は42名にもなる。側近中の側近や全く政経験のないトランプを指導したであろう人物や、軍事の指導者まで追放している。要するに気に食わないと大した思慮もなく来てしまうのである。
メキシコとの国境の壁建設を巡って予算案が通らず、政府の機能は一部停止したままである。こんなことで世界最大の国家の政権は動くのであろうか。
来週には、大統領選挙のロシア疑惑の調査報告が出るだろう。かかわったと思われる人物は逮捕されるか、司法取引をやっている。トランプに黒の判決が出ても、この人物は動じることもなく政権に居座り続けるであろう。
全米各地のおよそ300か所で、トランプ大統領が就任から2年を迎えるのに合わせて19日、女性の権利を訴える団体がトランプ大統領に抗議する大規模なデモや集会を呼びかけ、大々的なデモが行われている。参加者した女性は、「トランプ大統領はこの2年間、女性や移民の権利を尊重せず私たちの期待に応えてくれていません。アメリカはさまざまな人種からなる国です。『壁』というのは悪いシンボルでしかありません。」と述べている。
外交は最悪である。TPP離脱は就任早々やってのけ、パリ条約やイラン核合意からも離脱し、国連の人権委員会から抜けた。NATOからの離脱を臭わせている。トランプは多国間協議を極端に嫌う。
アメリカが実態はともかくとしてこれまで内外に訴えていた、自由と民主主義、人権重視と言った理念をトランプは放棄した。それに世界の警察としての立場も放棄した。
およそ知性の欠片も感じることのない粗野な大統領がここまで続くのは、特定層にだけは配慮した固定的基盤があるからであるが、これが民主主義なら個人的な独断に過ぎない政治と言える。