金正恩が米朝会談前に習近平に呼ばれて会談をした。米中経済性戦争の真っただ中で米朝会談をやると、トランプが外交は成果が上がっていると、国内の行き詰まりの中での象徴的な出来事として掲げている。トランプは米朝会談の中身は全く詰めることなく、事実だけで成果を誇っている。北朝鮮への対応などの内容はないままである。北朝鮮はアリバイ工作的でも何であれ、核廃棄やミサイル施設などを破壊している。アメリカの動きがないままでは、国内的に成果を誇れない金正恩である。
アメリカは韓国を南朝鮮(South Korea)としか呼ばない。北朝鮮(North Korea)と同格の呼称である。日本が韓国や大韓民国と呼んだり、北朝鮮を支援者や中国などが朝鮮民主主義人民共和国や略してDPRKと呼ぶのに比して、蔑称の感すらある。欧米の中国への経済政策は基本的に上から目線である。アジアの彼らの反発は150年前に遡る。日本は抜け駆けで早期に近代化への道を歩んだ。優越感が大東和共栄圏建設を掲げさせた。自民党の基本政策は、此処から抜け出ていない。その極端な例が、安倍晋三である。
そうした中での、習近平からの秋波である。米中は経済戦争のジレンマの只中にある。金正恩に乗らない判断はない。中身はともかくとして、トランプは忸怩たる思いであろう。それこそが習近平と金正恩の狙いである。
国内で民主党と共和党の一部を巻き込んだ、メキシコとの国境に壁を建設させる予算案は宙に浮いたままである。側近を次々と首を切って、人材の不足は深刻である。政府の機能は随所で機能不全の状態である。外交での成果を示したいトランプは、暴走するしか能がない。
全く外交経験のないトランプと金正恩であるが、金正恩には韓国の文在寅がいてさらに習近平が加われば、有能な側近を次々と解雇したトランプに利はない。
こうした事態に忠告を与える立場に本来に日本がいなければならない。アメリカの横暴な態度に、裏で何やっているか解らないような国々に、日本は忠告や指導を与える位置にいる。アメリカの隷属国家になり下がった安倍晋三の下では、アメリカにいつ切られるかの不安の中で、近隣国の挑発にお前が悪い理論しか示せない。安全保障などと言うからおかしいのであって、単なる武力競争がさらに緊張を高める。だから軍隊を増強するという道に嵌ってしまうのである。
米朝会談は成果が具体化する前に破たんし、トランプが仕掛けた中国への経済制裁はお互いが傷ついたままで、落としどころを探ることになるだろう。