冷戦期に、アメリカとソビエトで締結された歴史的な核ミサイル軍縮条約である、中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱をアメリカが発表した。トランプは、ロシアが新たに開発した準中距離ミサイルシステム9M729はINF条約に違反していると主張、条約破棄は6カ月先になると猶予期間の間に考えろという声明をご丁寧に出している。
アメリカはは、中距離・短距離ミサイル廃棄に関する条約に違反している理由の具体的な根拠をこれまで一度も示されていない。ロシア政府はアメリカの指摘している、9M729がINFに違反していないと反論しているが、アメリカはこれに30回も通告したと言いながら、全く具体的な根拠を示していない。
結果的には、ロシアの主張をアメリカ追認することになってしまっている。ロシアはアメリカが一方的に離脱したと言い始めている。ロシア政府は、米側の決定は「国際法上の義務を逃れるための戦略」の一環だと非難している。
トランプの主張する根拠に、中国のミサイル開発をあげている。核軍縮に正面から取り組む気がトランプにあるなら、ロシアと足並みを揃えて中国を引き込むのが、本来である。
イラン核合意にも一方的に一国だけが離脱した姿勢と全く同じである。アメリカを何でも一番にしたいのである。トランプの頭には、国際協調などどこにもない。中国などとの経済戦争も同じである。パリ条約離脱も他国のことはもちろん地球のことも未来のことも、トランプの頭にはない。
大国が担う責任も核兵器の対する思いも、女性の存在などもトランプは何とも思っていない。