2002年にイランでウラン濃縮施設が見つかったので、核兵器を持てないよう米英仏独中ロの6カ国に欧州連合(EU)が2015年にイランと締結したのがイラン過去合意である。イランが核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを製造せず貯蔵濃縮ウランや遠心分離機を削減する見返りとして、対イラン制裁を緩和するのであった。ちょうどこの年イランに行ったが、経済制裁が緩和されると国民は喜んでいた。アフマニネジャド政権からローハニに変わって、欧米資本が入り始めていた。
それを唐突に昨年5月にアメリカが離脱するとトランプが宣言し、11月に経済制裁に踏み切った。イランは平和利用と主張しているが、その歯止めとしてウラン濃縮の上限(3.67%)を越えないことであった。
安倍晋三がヘラヘラとアメリカとの仲介に行って蹴飛ばされたときに、日本のタンカーなどがホルムズ海峡で攻撃された。不審なこのタンカー攻撃に、日本のタンカー乗務員は飛翔体が認められたといっていてが痕跡はない。付着型機雷によるものであったし、船に損傷を与えるものでもなく、汽水線上に装着されたものであった。脅し以外の何物でもない。不思議なことのアメリカは即刻、イランがやったというのである。翌日には不発弾を外す高感度カメラの映像を証拠として流した。前後の映像もなく場所の特定もされていない。証拠になる根拠がよくわからない。ヨーロッパの一部報道はアメリカ犯人説を断定している。
ペルシャ湾は波穏やかな海で航行するには最適のコースである。ここを危険な領域にすることで誰が、どの国が潤うかが、タンカー攻撃の犯人である。
イラン原子力庁の報道官は昨日(8日)、ウランの濃縮度について核合意で定められた上限(3・67%)を突破し、4・5%を超えたと発表した。さらには、「濃縮度を20%にまで引き上げることも選択肢のうちだ」と強調した。アメリカ以外の締結各国に対する、イランのメッセージである。
トランプには交渉する能力がない。イギリス大使の言うことは誰もが思っている。パリ条約からの離脱、TPPからの離脱、米露中距離核戦力全廃条約廃棄、中国への関税強化や、ファーウェイへの圧力などすべて一方的である。交渉することなどない。圧倒的な軍事力や経済力を背景にした力の政策、恫喝である。
アメリカは近来にない好景気に沸いている。次期大統領選挙は、共和党はトランプで決まりであるが、民主党が候補者が100人近くが乱立している。再選されなければ、トランプはロシア疑惑で拘束される可能性が高い。トランプ再選の最悪のシナリオが現実味を帯びている。