1966年6月に清水市の味噌製造会社の専務宅で一家4人が殺害された、強盗殺人放火事件、いわゆる袴田事件の再審公判をめぐって、今日(9月26日)静岡地裁が袴田巖さんに対して無罪を言い渡した。
そして、捜査機関による証拠ねつ造であると認定した、画期的判決が出された。 静岡地裁國井裁判長は「とても申し訳ないと思っている」と、声を震わせ言葉に詰まりながら判決文を読み上げた。
袴田事件再審 閉廷後、弁護団とともに会見に出席した袴田さんの姉・ひで子さんは、開口一番、集まった支援者に対して「本当に皆様、長い裁判でありがとうございました。無罪を勝ち取りました。 裁判長が『主文 被告人は無罪』と言うのが神々しく聞こえました。私はそれを聞いて、感激するやら、うれしいやらで涙が止まらなかった。1時間ばかり涙があふれ出てきていました」と無罪判決を聞いた時の心境を語った言葉に58年もの時間を感じた。
しかし、裁判長は捜査側に3つの捏造があったと画期的判決である。
一つは自白である。長時間の尋問と自白を強要したこと。二つ目は、1年以上味噌に漬けられていたとする下着の血痕が鮮明であったり、サイズが合わなかったりしたこと。三つめは、自宅から見つかったズボンの切れ端である。少なくともこれらは、捜査側が捏造したものと大きく踏み込んだ判決をしたのである。
そこでどうしても拭いきれないのが、「ボクサー崩れの男」袴田巌さんを検察側は犯人に仕立て上げるのであるが、証拠を捏造する行為は犯人を逮捕することではなく、真犯人を無罪放免する行為でもあると認識すらしなかったかのかということである。
袴田事件の犯人は4人も殺害を放火までしている、死刑に値する極めて凶悪な犯行であるが、捜査の証拠捏造の経過を見て大いに安堵したことであろう。
こうした公務員の反社会的行為、犯罪行為は、国民の奉仕者としてあってはならない行為は、なぜ犯罪行為と扱われないのであろうか。