国会の予算委員会が開かれている。例によってではなく、今回は大きくいくつかの様変わりが目につく。何といっても、官僚のお歴々が誰もいないことである。代わりに、奥の席には副大臣と政務次官が座っている。アホでも前夜飲みすぎていても、答弁らしきものができたのは、官僚にお伺いを立てていたからである。
答弁のし方も、従来の「前向きに善処します」とか「包括的に検討します」などという官僚言葉が、予算委員会や所信演説からも消えている。この点は、結果どのようなことになろうとも大いに評価されるべきであろうと思う。
問題は、野党になったことにまだ気が付いていないと思われるのが、自由民主党である。大森理森、町村信孝、加藤紘一の質問が、質問の体をなしていない。普天間の移転問題については、移転を決めてから13年間もすったもんだをやっていたのは、自民党である。政権をとって僅か2ヶ月少々の民主党に、ぶれていると言う前に自らの行ってきた迷走ぶりが問われるべきではないか。
加藤紘一が自説を朗々と述べたり、町村信孝が自分たちがどれほど苦労したかなどと延々と述べるのを見ていると、野党になったことにやはり気が付いていないのである。だから下野することになったのだと、与党は切り返さなかった。本会議で鳩山首相が、「あなた方に言われたくない」と切り返したネガティブ発言を、予算委員会では封印したが、これは良く我慢していると評価されるべきであろう。
自民党が怒りを持って民主党に切り込まなければならないのが、補正予算を3兆円も削られたことではないだろうか。第4次だかの補正予算として16兆円もの支出を、緊急対策として打ち出したのである。鳴り物入りで行った補正予算である。麻生太郎は自慢げに、経済の麻生などと言っていたが、その虎の子の予算を3兆円も削られたのである。怒り心頭に達しているかと思いきや、全く触れることがない。
そうするとのこ補正予算は、やはり選挙対策であったのであろうか。結局自民党は、自分たちの所属しない派閥が政権をとった程度の気分であるようだ。いまだ与党気分でいるとしか思えない。予算委員会の自民党の質問内容を見ていて、政権奪回は程遠いものと感じたのは私だけだろうか。