14年前の再放送番組、NHKの「気骨の判決」を見た。このところ政権側に擦り寄るNHKであるが、ドキュメンタリーと8月に放映される戦時映画は、まだ健全な部分も残されている。
気骨の判決は、2009年に放送された大審院判事吉田久の気骨の判決を巡る、事実に基づくドキュメンタリードラマである。
昭和17年戦時体制下、国民の支持が得たいと東条英機が衆議院選挙に打って出た。時は太平洋戦争開戦直後の昭和17年1月、真珠湾攻撃から一月後である。国民は開戦に最も発揚していた時期である。選挙に圧倒的勝利を望む東條英機意向を受けて、大政翼賛会が強化された。
総裁には東条が当たり、道府県の知事が地方支部長を務め、大婦人会や隣組などが傘下におかれ、極めて官製色の濃い統制組織は選挙に強力に働いた。
日本各地で反翼賛候補は、暴力的に集会や演説会場を排除するなどの妨害を受けた。
鹿児島県二区の落選候補者から、選挙無効の告訴が出された。これを担当することになったのが、大審院判事吉田久である。訳300人に聞き取り調査をしたが、妨害を受けてまともに証言するものがほとんどなかった。
昭和20年3月1日に吉田久は、「組織的妨害による選挙妨害があり、選挙は無効」と判決を出した。四s打破4日後に辞表を提出出し体感した。12日後に羽東京大空襲があった。
50日後には選挙が翁われたが、結果は同じであった。吉田は公安の監視下に置かれたが、3か月後に日本は敗北している。
大審院は空襲で焼かれ、この判決文も消失したものと思われていたが、判決文の原本が2006年に61年ぶりに最高裁判所の倉庫で見つかた。
司法の独立を守った吉田久の気骨の判決は、現代のわれわれに大きな教訓を残してくれた。
保守政党ですら憲法九条に反するとしていた、集団的自衛権行使容認の安保関連法の違憲訴訟が日本各地で行われている。気骨のない現在の日本の判事は誰一人として、これを違法という判決を出すことができない。
吉田久は保守の思想を持つ人物であるが、司法の独立を守り通した。
司法を権力から独立した存在と考える判事は現代日本には存在しない。