人間は裕になると動物たんぱくの摂取量が増える。上の表は左が収入の多い国々、右が中等度から貧しい国々の人達の、たんぱく質の摂取の様子を表したものである。1961年から2050年までとなっているが、2030年と2050年は予測である。
下から順に、大豆を含む穀物、果実と野菜、肉と乳と玉子(畜産物9、その他となっている。これは非常に解り易い表である。裕かな人たちは、畜産物が多いだけといえる。収入の少ない国の人達の総量は裕なかな国の人達とあまり変わらないところまで来ているといえる。
人間は裕になると、たんぱく質を上げる。昆虫や両生類などから魚へ、そして鶏肉から豚肉へ、そして牛肉とグレードを上げてゆく。プロテインラダー(蛋白の梯子)と言われるものである。
ところがこの梯子の上に行けば行くほど、高価になってくる。そして高価になっても購入できる階層がこれを求める。高価になる理由は簡単である。高価になり理由は、穀物への依存度を高めるためである。穀物は基本的には、人と競合する。牛肉の場合は、穀物が蓄えたエネルギーを130分の一に落として牛肉に変える。
最もましな玉子でさえ8分の一に落とす。農業が人の食料としてではなく、より高価な畜産物に変換する、「畜産加工業」として農産物が使用されるのである。
先進的と言われる近代化された畜産は、遺伝子組み換え化学肥料や農薬をたんまり収穫量のために使われている。それを、家畜たちは飽食させられているのである。
輸入量も大量である。日本はほぼ2000万トン輸入している。人と同じ消費量である。家畜用輸入穀物が食料自給率を下げていることもあまり知られていない。
無関税で安価で安易な穀物多給に依存する畜産形態は、家畜のに生理に反するばかりではなく、大量の糞害をおこし環境破壊につながり、そもそも良質の畜産製品は生まれません。
先進国の畜産品のほとんどが、多くの問題を抱えた不健全な畜産製品を生産している。裕になることでそれは更に加速し、肥満が増えることになる。