映画「名もなく貧しく美しく」監督松山善三、高峰秀子、小林圭樹主演、1961年(昭和36年)製作
映画「オリバー・ツイスト」監督は戦場のピアニストのロマン・ポランスキー監督で2005年製作。原作は1838年に書かれたディケンズの小説。
いずれもNHKBSで放映されたものを録画してみた。
よって、この2週間ほどは、映画の中の貧しい映像が頭の中を去来する。
「名もなく…」のほうは、子供の頃に見た記憶があり、記憶に残っている場面が辛く可哀想なので、どちらかというとシブシブという思いを持ちながら見た。
で、感想。
50年近く抱いていた暗いイメージより救われた思い。
聾唖者夫婦が自立して生きていく苦難がえがかれているけれど、救いは、夫婦の絆が固く、健全であること。誤解もされ、踏みなじられもするけれど、誠実なココロモチは、迷うことはあっても、選択を間違わない。そこがどうにか安らかに見ていられる所以でしょう。
ああ、そこが「美しく」なのですね。
中野重治の妻であった原泉さんが母親役でしたが、彼女の母親としての心痛止むことなかったでしょう。
3人の子供の、長女は水商売から台湾人のお妾さん暮らし。末っ子は刑務所から出たあとも、ろくに更正する気配がない。
けなげに生きている聾唖者夫婦に吉報を伝えに奔ってくる母親。
それを聞いて、一目散に走り出すとと…。
ラストの設定は悲惨。既に故人ですが、「監督さん、そんなピリオドないでしょう」といいたくなりました。
目に見える形ある高価な美術品よりも、生き方に「美しく」と形容する監督さんの理性にココロ振れるところがあるから、ずっと思いが尾を引くのでしょう。
「オリバー・ツイスト」は、あの戦場のピアニストを製作した監督とのことで、時代考証が丁寧になされているのでしょう、19世紀前半のイギリス、下層階級を知る映像としてはよかったと思います。
ツイストは孤児。救貧院(孤児院)に入れられ、食事の一椀のおかゆのお代わりをしたことから、追い出される。
孤児たちがズラッと並んでおかゆを啜る光景。別室では大人たちが飽食のテーブルを囲んでいる。
逃げ出した子供は人攫いの手を経て仕事場に。
ギュウギュウにつめて並ばされて、やる仕事は、古いロープの短片を解く作業。
並ぶのは、浮浪者のようななりをした子供たちばかり。
産業革命の始まり、大量生産のための底辺の作業を、まだ野放しだった資本主義構造では、安い労働力=喰いっぱぐれた労働者(子供もOK)があって成り立っていたのだと教えられる。
広い作業場に驚くほど多くの子供たちが、同じ単純作業をされせれている場面、この場面が、この1週間ほど「やるせない貧しさ」として頭の中を去来する。
そこを逃げ出して、ツイストはロンドンを目指して1週間(?)歩き続ける。
襤褸切れのごとく草臥れたツイストに、食べ物を与え、住む場所をと連れていってくれたのは、子供にスリ、窃盗をさせて生業としている一味。
先の映画の「貧しさ」は、二人連れだったのに比べ、こちらは、孤児ツイストはひとり。
ラストではツイストはお金持ちの理解を得て、貧しさからの脱出はできるのだろうけれど、見ている途中で、より気が重くなるのは、「孤立している」、「理解してもらえない」が際立っているほう。
ラストで、刑務所に窃盗団の親方を訪ねるシーン。
心配する大人をよそに、少年ツイストは監獄の親方と抱擁する。
決して良いことを教えてくれたわけでもなく、辛い日々、嫌なことを強いられた日々だったのに、ツイストは刑務所の老人をしっかりと抱擁する。
映画「オリバー・ツイスト」監督は戦場のピアニストのロマン・ポランスキー監督で2005年製作。原作は1838年に書かれたディケンズの小説。
いずれもNHKBSで放映されたものを録画してみた。
よって、この2週間ほどは、映画の中の貧しい映像が頭の中を去来する。
「名もなく…」のほうは、子供の頃に見た記憶があり、記憶に残っている場面が辛く可哀想なので、どちらかというとシブシブという思いを持ちながら見た。
で、感想。
50年近く抱いていた暗いイメージより救われた思い。
聾唖者夫婦が自立して生きていく苦難がえがかれているけれど、救いは、夫婦の絆が固く、健全であること。誤解もされ、踏みなじられもするけれど、誠実なココロモチは、迷うことはあっても、選択を間違わない。そこがどうにか安らかに見ていられる所以でしょう。
ああ、そこが「美しく」なのですね。
中野重治の妻であった原泉さんが母親役でしたが、彼女の母親としての心痛止むことなかったでしょう。
3人の子供の、長女は水商売から台湾人のお妾さん暮らし。末っ子は刑務所から出たあとも、ろくに更正する気配がない。
けなげに生きている聾唖者夫婦に吉報を伝えに奔ってくる母親。
それを聞いて、一目散に走り出すとと…。
ラストの設定は悲惨。既に故人ですが、「監督さん、そんなピリオドないでしょう」といいたくなりました。
目に見える形ある高価な美術品よりも、生き方に「美しく」と形容する監督さんの理性にココロ振れるところがあるから、ずっと思いが尾を引くのでしょう。
「オリバー・ツイスト」は、あの戦場のピアニストを製作した監督とのことで、時代考証が丁寧になされているのでしょう、19世紀前半のイギリス、下層階級を知る映像としてはよかったと思います。
ツイストは孤児。救貧院(孤児院)に入れられ、食事の一椀のおかゆのお代わりをしたことから、追い出される。
孤児たちがズラッと並んでおかゆを啜る光景。別室では大人たちが飽食のテーブルを囲んでいる。
逃げ出した子供は人攫いの手を経て仕事場に。
ギュウギュウにつめて並ばされて、やる仕事は、古いロープの短片を解く作業。
並ぶのは、浮浪者のようななりをした子供たちばかり。
産業革命の始まり、大量生産のための底辺の作業を、まだ野放しだった資本主義構造では、安い労働力=喰いっぱぐれた労働者(子供もOK)があって成り立っていたのだと教えられる。
広い作業場に驚くほど多くの子供たちが、同じ単純作業をされせれている場面、この場面が、この1週間ほど「やるせない貧しさ」として頭の中を去来する。
そこを逃げ出して、ツイストはロンドンを目指して1週間(?)歩き続ける。
襤褸切れのごとく草臥れたツイストに、食べ物を与え、住む場所をと連れていってくれたのは、子供にスリ、窃盗をさせて生業としている一味。
先の映画の「貧しさ」は、二人連れだったのに比べ、こちらは、孤児ツイストはひとり。
ラストではツイストはお金持ちの理解を得て、貧しさからの脱出はできるのだろうけれど、見ている途中で、より気が重くなるのは、「孤立している」、「理解してもらえない」が際立っているほう。
ラストで、刑務所に窃盗団の親方を訪ねるシーン。
心配する大人をよそに、少年ツイストは監獄の親方と抱擁する。
決して良いことを教えてくれたわけでもなく、辛い日々、嫌なことを強いられた日々だったのに、ツイストは刑務所の老人をしっかりと抱擁する。