日曜の朝。
95歳だから何があってもおかしくないのだけれど、その電話が今来たのだと自分に言い聞かせて、大急ぎで郷里に向かう。
乗り継ぎ駅まで弟に迎えに来てもらって、車で病院へ。
緊急処置が終わって、話はできる。
動くのだけれど、右手の握力が出ない。
昨晩は2階の自室に行かないで、座敷で寝た、という。
長年膝が痛かったけれど、両手を使って頑張って、嫁いで以来ずっと2階を寝室にしてきた。
年老いて、夜間に一度必ずトイレで1階に降りなくてはならないのに、それも長い廊下を行かないといけないのに、「大丈夫、できる」と頑張ってきた。
その母が、昨晩は、1階で寝るから布団を移動してくれ、と頼んだという。
右手がおかしくなったことが判ったのは、何よりも本人。
痛い膝をかばって歩行補助車を使って、廊下を行き来していたのに、しがみつく右手に力が入らない、ということはどういうことが、本人が重々承知している。
夕方一旦実家に戻り、夜8時頃また顔を見に病院へ行った。ベットに寝ているだけだと、刺激が少なくて、困ったものだと思いながら、願わくば朝まで一息に寝られたらいいなと思いながら帰る。
月曜朝、私ひとりで顔をだす。
朝の診察でお医者さんに「もう、この歳で十分なのだから、治療をしなくてもいい、といったら、こんなに喋られるのだから、治療を辞める訳にはいかない」と言われたと。
眠れなかった?と聞くと、「うん」と。
「昨晩、顔を出すのが遅くなったのは、自分の退院後をどこの施設に入れようかと、家族会議をしていたのじゃないか」と聞く。
思わぬ質問にびっくり。
そんなことは、一切話題になっていない。
初めて聞いた同居の兄の話をした。
「トイレの戸(ドアではなく引き戸)の戸車を、ガラガラと音のするのに換えているんだ。毎日夜中にトイレにいって、何事もなく戻ってくるか、それなりに気遣っているんだ」と。
ベットの母のすっかり細くなった目に、涙が溢れた。
息子といっても70を超えている。
息子の口にすることもなかった配慮に、母の目に声もなく涙が溢れる。
自分の今後について考えると寝ることもできなかった母に、この話は何よりの良薬になったろうか。
まだまだ、これからです。
でも、自分の息子がそんな配慮をしていたことが判ると、親って何よりうれしいものだと思う。
ひとつ良いことがあったね。
ベットに寝ている母の目から湧いて、行き場のない涙の残像がまだ私に残っている。
95歳だから何があってもおかしくないのだけれど、その電話が今来たのだと自分に言い聞かせて、大急ぎで郷里に向かう。
乗り継ぎ駅まで弟に迎えに来てもらって、車で病院へ。
緊急処置が終わって、話はできる。
動くのだけれど、右手の握力が出ない。
昨晩は2階の自室に行かないで、座敷で寝た、という。
長年膝が痛かったけれど、両手を使って頑張って、嫁いで以来ずっと2階を寝室にしてきた。
年老いて、夜間に一度必ずトイレで1階に降りなくてはならないのに、それも長い廊下を行かないといけないのに、「大丈夫、できる」と頑張ってきた。
その母が、昨晩は、1階で寝るから布団を移動してくれ、と頼んだという。
右手がおかしくなったことが判ったのは、何よりも本人。
痛い膝をかばって歩行補助車を使って、廊下を行き来していたのに、しがみつく右手に力が入らない、ということはどういうことが、本人が重々承知している。
夕方一旦実家に戻り、夜8時頃また顔を見に病院へ行った。ベットに寝ているだけだと、刺激が少なくて、困ったものだと思いながら、願わくば朝まで一息に寝られたらいいなと思いながら帰る。
月曜朝、私ひとりで顔をだす。
朝の診察でお医者さんに「もう、この歳で十分なのだから、治療をしなくてもいい、といったら、こんなに喋られるのだから、治療を辞める訳にはいかない」と言われたと。
眠れなかった?と聞くと、「うん」と。
「昨晩、顔を出すのが遅くなったのは、自分の退院後をどこの施設に入れようかと、家族会議をしていたのじゃないか」と聞く。
思わぬ質問にびっくり。
そんなことは、一切話題になっていない。
初めて聞いた同居の兄の話をした。
「トイレの戸(ドアではなく引き戸)の戸車を、ガラガラと音のするのに換えているんだ。毎日夜中にトイレにいって、何事もなく戻ってくるか、それなりに気遣っているんだ」と。
ベットの母のすっかり細くなった目に、涙が溢れた。
息子といっても70を超えている。
息子の口にすることもなかった配慮に、母の目に声もなく涙が溢れる。
自分の今後について考えると寝ることもできなかった母に、この話は何よりの良薬になったろうか。
まだまだ、これからです。
でも、自分の息子がそんな配慮をしていたことが判ると、親って何よりうれしいものだと思う。
ひとつ良いことがあったね。
ベットに寝ている母の目から湧いて、行き場のない涙の残像がまだ私に残っている。
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