私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

ラスト・チャイルド

2011-09-20 22:20:07 | たまに読んだ本
双子の妹が誘拐された。
その後父親は謎の失踪。残された母は薬漬けになる。
そんな中、妹を探し出すために、学校にも行かずに捜査をしようとする12歳の少年。

少年が妹を探し出そうというのは容易ではない。
何かに取りつかれたように妹を探す少年の態度は、近所の年上の少年たちにとっては丁度いいからかいの対象だ。
誰も信じられない少年にとっては、「捜査は大人の仕事だ。警察に任せるんだ。」と少年を気遣う担当刑事の存在さえ、自分が妹を探し出すことの障害になると思っている。

自分だけを信じ、自分のそばにいる友人の少年だけを相棒に、妹を探し出そうとする少年。

歳の割にしっかりし利発な彼の行動は、判断力のない大人よりもよっぽど大人びており大胆だ。
しかし、まだ12歳。子供であることに変わりはない。
母の薬漬けも簡単には治らない。そして母にまとわりつく男の存在も少年にとっては大きな障害だ。

そんな話であるのに、最後の結末も決して幸せとは言えないのに、読み終わった後に、明日から頑張ろうと思えるのはなぜなんだろう。
いなくなった妹だけでなく、失踪した父を探したい。あの幸せな時にもう一度戻りたいと切に願い、その思いに向っていこうとする物語になっているからだろう。
たとえ、ミステリーの結末が決して幸せとはいえなくても、もう一度幸せをつかもうとした、その思いだけは伝わってくるからだろうか。


早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
クリエーター情報なし
早川書房