弁護士になるも就職は上手くいかず、同居する姉の勧めもあり、児童福祉館の臨時職員として働き始める男性。
弁護士事務所に就職出来るまでの腰掛のつもりの彼の元に、幼い姉弟が訪ねてくるようになる。継母との間がうまく行っていない様子がうかがえるものの、子供たちは多くを語らず。いやいやながら二人に付き添ってハンバーガーショップ等に行く彼だが、そんな彼を優しい兄と慕う姉弟。
二人が自分の事を必要としていると感じながらも、弁護士事務所に就職出来た事で結果的に二人を見捨てる事になってしまった彼の元に届いたのは、姉が弟を殺害したと自白したというニュースだったのだ。
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弁護士になる男性も、姉の担任教師も、同じマンションに住む住人も、皆、姉弟が抱える闇に薄っすら気づきながらもそれを深追いする事はない。「そうかもしれないけれど・・・でもそんな訳があるはずがない」と疑いを自分の中で打ち消し、幼い二人が子どもなりに出すシグナルに、さりげなく気づかないふりをする。
勿論、それには理由もある。「家庭の問題」「しつけの問題」と言われればそれまでだ。愛情を持たない子育ての中では大人の不満が子どもに向けられる事、それが子どもを傷つける事になることは誰でも想像がつく事なのに、家庭という外からは見えない所で起こる出来事に何か行動を起こす事は非常にハードルが高い。
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継母の不満は二人の子どもにぶつけられる。子供らしいちょっとしたしぐさがちょっとした行動がすべて継母の癇に障りその体罰は容赦ない。しかし、子どもには誰か守ってくれる大人が必要なのだ。逃げ場のない子どもが選んだのは、自分に手を挙げ続けるそんな継母の庇護を受けるために「弟を殺した」と自白することだったのだ。
継母の虐待が子どもに究極の選択をさせる非情さ。そして虐待場面のこれでもかという描写。見るのも辛く、見続けているうちに苦しくなるような場面が続く。虐待する側の継母に「何かそうせざるを得ない理由があった」などというエクスキューズらしきものもない。こういう時に韓国映画は容赦ない。しつこく、ねちっこく、重い。
非常に痛い映画なのだが、虐待の闇の深さに目を向けさせようとするパワーを感じる。
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映画館で見たかった映画なのだが、公開後一回目の緊急事態宣言が発令された為タイミングを逸してしまった。
最近 また感染状況も深刻になっているようなので、週末Netflixで鑑賞。
『幼い依頼人』予告映像