私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

EO イーオー 

2023-05-05 20:38:57 | 映画鑑賞

赤いライトが不規則に点滅し、重厚さを感じさせる音楽になぜか不安な気持ちを掻き立てられてる。そんな風に始まる映画は、サーカスで一緒に舞台に立つ女性からEOと名付けられたロバの瞳を何度も覗き込むようにして進んでいく。

サーカスで女性と一緒に舞台に立つロバのEO。彼女はEOに愛情を注ぎ、EOもそれに答えるも、動物愛護団体からは虐待と訴えられEOは牧場に引き取られる。EOの流浪の旅が始まるのだ。

牧場の中に居れば世話はしてもらえるが、人間の関心は荷物を運ぶだけのEOより競走馬に向けられる。おとなしくしているだけのEOだったが、サーカスで愛情を注いでくれた女性が牧場に会いに来てくれた事をきっかけに、静かに牧場の外に出ていくのだ。

牧場から出て夜の森をさまようEOの目が何度も大写しになるものの、EOは周りで起きる全ての事をそのまま受け入れるだけだ。捕獲されサッカーの試合で勝利の女神と勝手に持ち上げられ、負けたチームのサポーターに逆恨みされる。助けられてもその後はまた牧場で働かされる。更に売られていく途中、載せられたトラックがトラブルに巻き込まれた事で、通りがかった司祭に連れられ大きな屋敷に連れられて行く。その間、EOから強い意志が感じられる事はない。EOは自分の置かれた場所で常にニュートラルにその場に存在し続ける。

EOの目をのぞき込む視線、EOの目から見たその場の風景、その景色の中に静かに居続けるEOを遠くから見つめた視線。幾つもの視線が混在し、静かにそこに居続けるEOが浮かび上がる。

なんとも不思議な体験だった。