10数年前の詐欺事件の首謀者のノ・サンチョルが逃亡先の中国で死亡が確認されるも、その「ノ・サンチョルに殺される」という通報が警察にかかって来た事から、一気にノ・サンチョルの生死がクローズアップされることになる。
死んでいる人間が殺人を犯せるはずもないが、殺された男が詐欺事件の際の右腕だった男で、死体のそばにいた男が被害者の一人だったのだから、一筋縄ではいかぬ事件だ。かつて詐欺事件の担当者だった上司から事件の担当を任されるのは、弁護士出身の変わり種刑事のドハン。
ケチなチンピラだったはずのノ・サンチョルが、自らも騙されながら詐欺事件の首謀者に成り上がり、マルチ商法であることを隠して会員を募集し、その会員たちが更に被害者を増やすという合法なのか違法なのか判断が難しいスキームでどんどん私腹を肥やしていったのだ。
何故か警察の捜査に検察が介入して事実上の捜査はとん挫。勿論被害者の会はノ・サンチョルが死んだ事を信じず、彼の生存を確認し、更に彼に損害賠償を求めようとしているのだ。
ノ・サンチョルの右腕の男が殺されただけでは事件は終わらない。死んだはずのノ・サンチョルは連続殺人事件の犯人として再び注目を浴びる事になるのだ。怪しさはこの上ない。
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韓国ドラマでは詐欺にあって苦労するというストーリーは非常によく見られる展開だ。頼母子講でお金が持ち逃げされてしまったとか、もちろんドラマと同じようにマルチ商法で売れない商品だけが手元に残り、家族に内緒でお金を増やそうとした母親が泣き崩れるという場面を見たのも1度や2度ではない。ただ、私が見たこれらの場面は、ほとんどホームドラマでのそれで、これほど暗く救いようのない詐欺事件を扱ったドラマは正直初めてだ。被害者達が望むのはただ一つノ・サンチョルの断罪のみ。ノ・サンチョルが死んでいてはならないのだ。