ATM製作技術の特異性を争う訴訟を同じ新人弁護士であるミヌと担当することになるヨンウ。
上長であるチョン弁護士は「ウ弁護士は着眼点が変わっている」と、彼女の無断欠勤をとがめる事もせず、逆に彼女の肩を持つような態度だ。ミヌはアナウンサー試験にも受かる位しゃべりの技術もあり、弁護士として経歴を積もうとしているのに、突然やって来たヨンウにその居場所を脅かされてはたまらないと、誰もいない場所で周りに分からないように彼女を出し抜こうとあれやこれや画策するのだ。更に「競争者なのだから、(汚い手を使っても画策するのは)当然」という非常に感じの悪い物言い。腹黒弁護士というあだ名がつくのも当然の行動だ。結局、そんな彼に負けたくなくて、依頼人が嘘をついているらしいことが判っても、それを見ぬふりをしてしまうヨンウ。依頼人を勝たせる事が弁護士の仕事ではあるが、そんな自分の行動を恥じてしまう彼女。
就職しても厳しい競争が続くのはどこの国でも一緒だと思うが、韓国の若者は就職に向けて自分のスペックを上げる事を何よりも重要視するらしい。経験のある年長者に対しても、新しい技術に不慣れだったりITに慣れないような様子があれば、どんどん糾弾すると耳にした。競争が激しいので、そこには年長者を敬うという儒教の考えが入る隙はないらしい。ミヌの行動を見ながらそんな事も考えてしまう・・・
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ロースクール時代から一緒だったスヨンと一緒に、脱北者である女性の傷害事件を担当することになるヨンウ。若い二人は苦労して娘を育て、娘の為に5年も逃げてから自ら出頭した彼女にすっかり肩入れして弁護に臨むが旗色は悪い。二人の前のめりな弁護に裁判長も検察も辟易した態度を隠しもしないのだが、それでも二人は何とかして彼女が娘に少しでも早く会えるようにと刑の軽減をあれこれ画策するのだ。熱い二人の思いは空回りしつつ、でもそれでも清々しい・・・
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検事はなんとか優位に話を進めたいと「豊山(プンサン)の柳(ユ)氏でいらっしゃいますか?」と出身地の話を持ち出して裁判長に取り入ろうとする。安東(アンドン)の河回村(ハフェマウル)は両班(ヤンバン)の子孫が今でも暮らす歴史と伝統の村だ。仮面劇等が演じられるイベントも有名だし、韓国を訪れたエリザベス女王が伝統家屋を見学した場所でもある。
韓国語の初級テキストの「伝統芸能を知ろう」というレッスンで、この安東(アンドン)の河回村(ハフェマウル)の事を知ったのだが、この村の事を知ろうとすると、本貫(ホンガン)という出身地と姓の関係、いわゆる貴族である両班の事等、一緒に色々と韓国事情を学べるようになっている。「リュ・シウォンもこの名門豊山(プンサン)の柳(ユ)氏」などという芸能情報も一緒に知ったのだが・・・
本貫(出身地と名字)の事は日本人にはなかなか分かりづらいものだが、安東(アンドン)の河回村(ハフェマウル)の豊山(プンサン)の柳(ユ)氏の話は、非常に典型的なので分かりやすい。このこんな風に持ち出して、話を盛り上げようとするのだな・・・と実感・・・