私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

モーリタニアン 黒塗りの記録

2021-11-06 21:08:57 | 映画鑑賞

9.11の首謀者として逮捕されるも裁判にかけられることもなく、アメリカが設置したキューバのグアンタナモ米軍基地内に収容されているモーリタニア人の男性。

彼を弁護すべくグアンタナモ収容所を訪れるのは弁護士のホランダー。何年も拘束だけして裁判が一度も開かれないのは不当だという彼女は、何度も彼に接見をするも、彼はなかなか口を開かない。

名前もなく番号で呼ばれ、毎日同じ事をたずねられるという精神的な苦痛と共に繰り返される肉体的な苦痛の数々。彼が疑心暗鬼になっているのはそれなりの理由があるのだ。そんな彼に今までにあった事をまとめるように促すホランダー。

同じ頃、政府からの「彼を死刑に」という命令の元、軍人であり弁護士でもあるスチュアート中佐も死刑にすべく拘束されているモーリタニア人の記録を調べていく事になる。

「テロリストと疑われる人間を弁護する事はテロに加担する事とは違う」と言い切り、モーリタニア人の男性に不利な証拠しかない状況でも真実を追求する行動を続ける弁護士ホランダーと、「死刑を求刑するにはそれなりの確信が必要だ」と出来レースの前であっても法に携わる者としての信念から調査を続けるスチュアート中佐。

存在していても開示されなず、開示されても膨大な黒塗りの書類しか出てこない。彼らの前に立ちはだかるのは膨大な量の調査書類だ。開示された書類の向こうには、加害者を罰する為には何をしても正義だという思いが見え隠れし、なんとしても加害者を作るべく精神的肉体的にモーリタニア人の男性を痛めつける様子が記録されているようなのだが、それについての反論する場も彼には与えられないのだ。

米軍がアルカイダ幹部やテロリストを収容するために設けられたキューバのグアンタナモ湾にある収容所。風光明媚な場所にあり、施設内のレストランは、一瞬リゾート地のシンプルなカフェかと見間違うほどだ。そんな場所に収容所があるのは、収容所内で働く職員の為という台詞が出てくる。彼らのストレスを癒し、彼らが自分達の任務に疑問を抱かないようにあのような場所に収容所を作る。これも一つの闇だ・・・・

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手記が発表され映画化もされるという事にも驚くが、膨大な資料が残されているということにも驚く。裁判をするつもりもないなら、記録も残さず膨大な資料も全部廃棄するという事も可能なのではと思ってしまう。アメリカの民主主義の懐が深いのか浅いのか。なんの知識も持たない私は混乱するのみ。

戦う弁護士を演じるジョディ・フォスター。アンチエイジングには見向きもしないクレバーさが眩しい。

 

 



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