昨日、今日と、辰巳ジャンプがここ7年ほど指導を続けてきた「成功法則」を指導しました。期待される指導の効果を先に書くと、この法則が身につけば、子どもたちはバレーボールだけでなく、すべてのことに格段の成長を見せるようになりますし、脳内に本人にとってプラスになる情報に気付くことができる、キャッチすることができる「心のアンテナ」が作られることになります。
(1)最初から100%で取り組む人と、50%で取り組む人のちがい
声の出し方にしても、バレーのプレーにしても、学校生活でいえば50m走の走り方や係活動の取り組み方、授業への参加の仕方、家庭でのお手伝いなど、すべてにわたって関係してくることです。最初から100%の力で取り組んでいる子は、先生や保護者、他の子どもたちからも、注意を受けることはまずありません。どちらかというと、「よく頑張っているね!」「それでいいんだよ!」「いつも頑張ってくれて助かるわ」と、まちがいなくプラス評価をされます。スタートから150%、200%に力を出す習慣が身についている子は、「そんなに頑張らなくても大丈夫だよ。」「あなたの姿を見ていると、こっちが勇気をもらうよ。」などというプラス評価の言葉を投げかけられることが多くなります。人間の脳はけっこう単純で、このようなプラス評価の言葉が耳から情報として入ってくると、本人が意識する意識しないにかかわらず、自分のしている行動が心地よくなり、「もう一度、その良いことをしてみよう!!!」という指示をするようになります。ですから、スタートから100%の力を出していく習慣がある子は、無制限に伸びていく可能性をもっています。
反対に、スタートでは自分の力を出し惜しみ、50%や30%しか出さない子がいます。例えば、声を出すという、いとも簡単なことでさえも、最初は50%しか使えない習慣(くせ)のある子がいます。すると、指導者はもちろん、周囲の大人や、チームのメンバーでさえも、「声を出して!」「聞こえないよ!」「しっかりして!」「やる気あるの?!」というマイナス言葉をその子に投げかけることになります。スタート時点で100%を出す子とは、大きな差があるので、50%から必死に頑張っても、100%の子に追いつけることは絶対にありません。自分の力をせいぜい80%まで高めたらエネルギーがなくなります。スタート50%の子は、「自分の持っている力を出さないことで、自分を守る」というクセが身についているので、耐えなくてはならない苦しい場面(いわゆる瀬戸際)がくると、他人に頼ってしまうことが多くなります。
100%の力をいつも出す子どもになるためには、バレーボールだけではなく、勉強や授業態度、家での行動、すき間の時間での取り組み(例えば、すきあれば練習する姿勢、すきあれば本を読む姿勢、すきあれば自分の課題に取り組んでいる姿勢)というものが、人の目を気にすることなく、挑戦的になります。じつは小学生の子どもは無限の可能性をもっているので、一気に成長させることは難しいことではなく、3週間以上かけて習慣を変えてあげればたちまち別人のように成長していきます。このことは、週末だけの指導ではなかなか難しいので、辰巳ジャンプでは半年くらいかけないと、「本気の一人」は出てこないかもしれません。
子どもたちには宿題を出しました。
「1週間後に、100%のスタートをするクセをつけるための努力を、どのようにしたか? 全員に聞くからね。」
1人でも毎日努力した子がいれば合格。「たいがいだれ一人できないよ」と伝えておきました。
(2)練習方法が身につくと、態度がどう変わるか、身についていない人とどう差がつくか
この土日、「スパイクの助走から打つところまでの素振り」を、すき間の時間にできるだけたくさんすることという課題を与えました。試合中に誰がどのくらい自主練習しているか数えてみると、あるセットではこのような結果が出ました。
背番号 5番(11回) 6番(7回) 1番(2回) 3番(3回)
11回と2回では5.5倍もちがいます。この原因は何かというと、「成功法則を習慣(クセ)にしているかどうか」ということです。
5番さんは、私が何も言わなくても、余裕があれば自然にスパイクの素振りをしています。しかし回数の少ない子は、「素振りしなくちゃ」と本人が意識したり、私から「素振りしなさい」と指示をしないとやりません。目立たないことなのですが、この差が本当に大きく結果に現れるのです。当たり前ですね、だれも知らないうちに5倍も努力しているのですから、時間がたてばたつほど差が広がります。
このことを通して、子どもたちには次のように教えました。
・11回も素振りをしているということは、意識して練習していない。そうすることが自然にできている。だから努力を努力と感じていない。努力がふつうになっている。
・反対に、「素振りをすることが課題だよ」と言っているのに、あまり素振りをしないのは、「やろう」と意識しないとできないからだ。
・この「意識」の差が、ものすごく大きい。全員が「意識しなくてもすき間時間に努力できるチーム」にしたい。
(3)3%理論
(1)のスタートから100%ということや、(2)の意識しないでも練習する習慣(クセ)にしても、ふつうにできる人は、100人中3人(3%)しかいない。この3%に入るかどうかで成功する人と、成功しない人に分かれる。もし小学生時代から3%に入ることを習慣(クセ)にしていけば、大人になってどんなことにでも成功する。このことは「7つの習慣」という本をはじめ、いろいろな本に書かれているので、将来ぜひ読んでほしい
(4)私の反省 「子どもたちはプラス評価を待っている!!!」
チームで試合練習をしている中、今の辰巳ジャンプの4年生は、まっすぐな心の子ばかりなので、試合が終わると、自分たちから「先生、アドバイスお願いします!」と聞きに来てくれます。そこで、「もっと攻めていくために、無理してでもスパイクを打ったほうがいい」とか「サーブをミスしすぎているから、集中してサーブからの点を増やすようにしよう」「プレー中、指示する声をもっと出していくこと」といった、マイナスをプラスにするアドバイスをしていました。そんな中で子どもたちから、
「先生、私たちの良いところはありませんでしたか?」
と質問されてしまいました。この一言が、私の心にグイっと刺さりました。
ああそうだった。子どもたちは、反省だけでなく、自分らの頑張りをプラス評価してほしいんだ。「あの場面のねらって打ったスパイクコースが良かった」とか、「スパイクを決められることなく、何度も何度も返すことがでいていた」とか、「あんな強いサーブは初めて打てたね!」という、“ほめてもらえること”を期待しているんだった。
これを気付かせてくれた4年生の心根が、とてもありがたいことです。あらためて来週の練習から、私自身もプラス評価を増やせるように「習慣化(クセ)」していこうと思いました。