特定秘密保護法案を、どうして安倍はあれほどのも急いで可決させたのであろうか。安倍首相が何処まで洞察力を持つ人物であるかは判らないが、強硬採決には彼なりの勝算とその先があるのであろう。
経済改革を旗印にして、自民党は民主党の自爆もあるが衆参の選挙を大勝した。ここでは彼は、秘密保護法のことはおくびにも出していない。言い分は、自民党憲法草案の達成があろうが、多くの国民にとっては闇の中同然のことである。
安倍の経済対策(アベノミックス)は程なくぼろを出すことになる。消費増税によるインフレの行き止まりと、消費の低迷や格差問題などがきっかけになるであろう。法文を詮索される前に、秘密保護法は通しておきたかったのであろう。半年も延ばすと、国民の声が大きくなってしますし、支持率も下がるだろう。
当分選挙もない。国民の声など聞くふりした公聴会やパブリックコメントなど、単なるアリバイ工作でしかない。これほど国民を監視し情報操作する法律の恐怖のことが知られてしまうことを考えると、それこそ“今でしょ”である。
戦後の政治史を見てみると、政党にごたごたがある度に自民党だけが大きくなっている。今回も、野党の対応がバラバラで、その後分裂と新党への動きもある。
みんなの党が真っ先に割れた。彼らが、維新の会や民主党と部分連合か、それこそ新党に集まってくれれば、めっけものである。自民党にしてみれば、強行採決の思わぬ拾い物といえる。
野党が烏合集散する度に自民党が大きくなるからである。日本の政治的貧困の象徴的出来事である。
何よりの安倍の目指したものは、憲法改定である。特定秘密保護法が可決されたことで、次の矢となる国家安全保障会議を招集している。更にはここで防衛大綱を作らせるようである。
次の矢は、集団的自衛権の大幅な容認である。その次の矢が、元の入り口であった、憲法96条の改定である。3分の2を過半数にするのである。
集団的自衛権の容認を世論的な高まりにして、憲法改定へと舵を切るのである。安倍晋三にとって、経済対策などは手段に過ぎないのである。憲法改悪が真の目的である。軍事国家として日本を取り戻すのが彼の念願である。取り戻すのは、80年前の日本である。多くの国民は安倍晋三の恐ろしさをまだ知らない。