安倍政権は、今日(23日)国家安全保障会議で、南スーダンでPKO活動する韓国軍に、銃弾1万発を無償で提供することを決定した。他国に武器を提供することは、武器輸出三原則に抵触する。
これは、安倍政権が抱える積極的平和という名の軍国思想の一端が露わになったのであるが、憲法九条にも違反している。
憲法九条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする・・・(中略)・・・武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、これを永久に放棄する」と謳っている。今回の行為は明らかな憲法違反といえる。
60年以上前に書かれた憲法文章であるが、その後の紛争の世界情勢を見事に予測している。紛争は武力では解決しないと、この当時から日本国憲法は見抜いているのである。
その後の紛争は、武力を行使するか威嚇したり誇示することで、均衡を保っているかに見える。ところが、解決したように見える紛争も、多くは強者がその武力を行使して抑えたに過ぎない。
武力による解決は新たな紛争の火種になっている。ブッシュが仕掛けた戦争の全てが、紛争を大きくしただけであることが、好例である。
1万歩譲っても、自民党の憲法草案でも、この文言は残っている。国連の依頼による緊急性が高いことというのを理由にしても、明らか自民党の憲法草案にも抵触する。
かつて自民党自身が規定した、社会主義国などの武器を輸出しないとした「武器輸出三原則」であるが、今回の違反行為は本格的な見直しの前に実績を作ったことになる。
かつては自民党内にも護憲派がいた。三木武夫や河野洋平や野中広務などの護憲派が、自民党の右傾化の重しにもなっていた。武器輸出三原則や、有するが行使しないとした集団的自衛権は、ぎりぎりのところで憲法は留め置かれている。
ところが現在では、一年生議員は自民党の戦争へ歩みだす憲法草案を、徹底的に叩き込まれる。現在の自民党の右傾化・軍国化には歯止めになる人材もシステムもない。
解釈改憲が徒に横行する安倍政権内の動きである。既成事実を積み上げて行くことによって、実質憲法改変を図っている。
日本は、戦争のできる国家からする国家へ、さらには戦争を支援する国家へと歩みだしているのである。怖ろしい時代になっといえる。