今日(7月1日)は香港が中国に返還されて23年になる記念の日であるが、中国は先月成立させた国家安全維持法が施行されることになる日でもある。返還時大きく掲げられていた、50年は変えることない「一国二制度」が崩壊した日である。中国は同法は一国二制度を発展させるため、国家の安定と発展となるというのである。
例えば9条には、「国家の安全を維持するため香港政府は、学校・団体・マスメディア・インターネットにたいして宣伝・指導・監視と管理の体制強化など非梅雨様な措置を取る」とある。
早速今日のデモで香港独立の旗を掲げた男が、新法の適用を受けた逮捕されている。新法での逮捕者は今日11名であるが、デモなどの逮捕者は180名を超えている。一国二制度の根幹をなす、高度な自治権と表現の自由が崩壊した日である。しかし、多少早いかもしれないがこの日は予見できてはいた。3年前に習近平が一国二制度は、中国が発展してこそあると言ったのである。香港人の危機感は、昨年来の100万人規模のデモに表れている。
中國は西欧と異なる戦法が古来からある。時間である。あるいは空間である。一旦は了解したように見せても、徐々に超如何をかけて目的に近づけるのである。あるいは毛沢東のように戦闘現場から引きさがり、広大な背地に敵を引き寄せ戦力を分散させる作戦である。
イギリスや貧困には50年は維持するといいながら、23年で約束を反故にした。思ったより早かったのは、中国が世界第二の経済大国になったからである。中国共産党はプロレアートによる一党独資を掲げている。ただし今の中国共産党がプロレアートつまり労働者階級の利益を代表しているかどうかは、はなはだ疑問である。ただそうした独裁体制は経済発展の大きな要因になっている。経済体制は共産主義とは相反する資本主義体制である。経済政策に国家権力を動員するので解り易い。経済発展は国民を黙らせてきた。
国家の政治政策を検証するシステムが中国にはない。現在の日本も同じであるが、国民に自由や人権や民主主義などないに等しい。中国は人類の発展あるいは自由などというものから国民を遠ざけて今日に至っている。経済発展が頭打ちになると、国民の不満が大きくなるであろうが、それまで国民は我慢を強いられたままなのであろうか。
香港に顕在するがウイグルなど新疆自治区、チベット民族や宗教の弾圧や収奪、新疆ウイグル自治区の民族浄化や、モンゴル族など少数民族への弾圧と同化政策も、香港へのやがて始まる弾圧も同種のものである。中国のそうした政策に転換が来るのは相当先になるであろうが、少なくとも中国共産党にそのような修復能力があるとは思えない。