なんと羨ましいことか。スウェーデンとフィンランドの首相、両国の最高権力者のツーショットである。黒ずんだ服を着た老人が、無表情のメモを読み上げることしかしない首相を見慣れた者にとって、NATO加盟に共同歩調を検討するお二人の姿は羨ましいぃ-、限りである。
フィンランドのマリン首相は13日、ストックホルムでスウェーデンのアンデション首相と共同記者会見し「北大西洋条約機構(NATO)に加盟しなければ安全の保証が得られない」と述べ、加盟への意欲を表明した。フィンランド国会には、NATO加盟によって「フィンランドとロシア国境の緊張が高まる」恐れがあるとする報告書が出されている。
アンデション氏も早急に判断する意向を示している。両首相はロシアのウクライナ侵攻で、両国の安全保障環境などについて協議した。
プーチンはウクライナのNATO加入を阻止するのが目的の一つと述べている。北風と太陽ではあるまいが、人心を全く考慮しないまるで19世紀のような判断をプーチンはしている。帝政時代から幾度もロシアに侵略を受けて、成り行きで第二次次世界大戦の敗戦国になったフィンランドは、大国ロシアの脅威に怯えて75年過ごしてきた。今こそロシアから距離を置く絶好の機会である。36才の若いマリ首相はNATO加入に踏み切った。スウェーデンも国内世論の高まりを背景に、政治的中立を放棄しNATO加盟賛成に傾いている。NATO加入は通常は申請から一年はかかるもの絵あるが、両国に関しては迅速に対応することになりそうである。
プーチンの思いとは裏腹に、NATOは更に巨大化し東に延びてしまう。地政学から安全保障を語る愚かさは、敵国を大きくするだけである。ロシアにしろNATOにしたって、軍事均衡による平和が恒久的でないことを知らなければならない。
軍事侵略も思いのままにならず、プーチンは焦りから核使用までほのめかしている。この男が正常な判断を失っていることは否定できない。