海上自衛隊の護衛艦(DDH‐184)「かが」の第1回特別改造工事が終了した。これまでの「かが」にはヘリコプターが搭載されていたが、この改造で垂直着陸を行う最新鋭ステルス戦闘機F35Bが搭載できるようになった。これは(上図)誰がどう見ても航空母艦であるが、専守防衛を標榜する日本政府は、これを護衛艦と言い続けるのである。
護衛艦「かが」はの名前は、旧海軍の航空母艦「加賀」に由来する。上海事変(1932年:昭和7年)に日本空母として初の実戦参加し、5年後の第二次上海事件(1937年:昭和12年)にも関わっている。中国にしてみれば、加賀は忌まわしい名前の空母である。ミッドウェー海戦(1942年:昭和17年)で撃沈している。
「かが」は護衛艦であるから、ヘリコプターしか乗せることが出来ない。「かが」には哨戒ヘリコプターSH-60Jを7機と、2機の掃海輸送ヘリコプターMCH-101が搭載され、ヘリの最大重量は前者が9.9トン、後者が15.6トンである。
アメリカからの購入が決まっているF35Bは、最大重量が27.2トンとはるかに重く、離発着陸時に”護衛艦”にかかる動的負荷は比較にならに程高くなる。
「かが」はそのための空母化への第一段階の改修が終わり、第二段階に改修がこれから始まり、「かが」が完全に戦闘可能な空母になるのは、早くても2027年末ということになっている。2020年に発注したF35Bはいまだに納入されていない。しかし来たところで改修した空母もどきでは、使えなくなるのは目に見えている。
政府のシナリオは簡単である。「かが」では十分に機能しない、新たな航空母艦を一から作り直すと言いだすに決まっている。
「かが」の第一次改修に2年、第二次改修に5年かける。あるものを改修するのに7年もかかり挙句の果てに使えないというのである。
中国は、「かが」より大型で24機のJ15を搭載する自国初の航空空母「山東」をわずか2年半で造船し終え就役させている。もう一艦新空母「福建」も2年でほぼ完成し進水を待っている。
日本は単にアメリカの軍事産業の振興に腐心しているだけで、仮想敵国としている中国の足元にも及ばないお粗末な、空母建造である。
安倍晋三が、閣議決定で押し切りロクな議論もせず空母艦をつくり、近隣諸国を刺激するだけになって、さらに日本を数段上回る状況ににある。
いかに軍拡競争が意味がないものかを知るべきである。