去年クワッド開催辺りから、「自由や民主主義、法の支配といった基本的価値 」を共有する国々にという言葉が、盛んに岸田文雄の口からは下されるようになった。美辞を並べて、いささか躊躇も見えるインドをなんとか取り込もうとしている。
特に法の支配ということを徒に強調し、中国がいかに不法であるかと際立たせたいのであろう。ロシアに対しても同様である。何とかロシアの敗北、プーチンの悪行をと喧伝する岸田である。
何が法の支配だ。政権内の人事を論功行賞で自在に操り、ロクに審議もせず作り上げた法案ばかりでこの国を支配し、法の支配をいえる立場か。
「法の支配とは、法によって国家機関による恣意的な権力行使を排除するという原理である。」と言われている。公文書を改竄、隠蔽、破棄した自民党政権に、民主主義を語る資格があるかと思われる。
岸田がクワドなどで言う、法の支配とは国際法の順守を念頭に、中国やロシアを非難の文言にしているのである。しかしこれは、習近平が指摘する、旧冷戦構造の再来と固定化を目指しているとしか思えない。
同様のことはNATOについても言えるが、法の支配などとは彼らは口にしない。直接プーチン、ロシアの悪行を非難しあからさまである。小理屈抜きであるが、旧冷戦構造を擬えた対立構造を創りあげている。
国家間を武力で理解しようとするこうした動きは、絶え間ない紛争や戦争を招く結果になる。21世紀は科学が発展し、平和の世紀になると信じていた自分が恥ずかしい、人類の愚行である。