アメリカのイラク進攻から4年を終えようとしている。ブッシュアメリカ大統領は、イラクに「大量破壊兵器がある」「アル・カイダと関係を持つテロ国家である」「イラクを民主化する」と、侵攻あるいは侵略の理由とした。
これをいち早く支持したのが、日本の小泉純一郎である。そして、PKO以外で、自衛隊の派兵をかなり強引に押し切って、イラクに地上軍を送り込み、インド洋上で主にアメリカの軍事用戦艦に給油する法案を通した。
その後、イラクには核兵器もなければ、アメリカが開発させた毒ガスもなければ、大きなミサイルすらなかったのである。つい最近になって、アル・カイダとの関係も否定された。そもそも独裁者が、テロリストと手を組む構図がおかしい。通常は起こりえないことである。
民主化に至っては、もっとおかしい。イランもイラクも大いに問題があるが、選挙はやっている。王制を引いている、サウジアラビアやドバイなどと深い関係にあるアメリカが、「民主主義の定着」など発言できる立場にはない。
ブッシュの、イラク進攻を支えたのが、「亡命イラク人」たちである。特に、ブッシュ政権に影響を与えたのがカナン・マキア氏である。彼は「恐怖の共和国」という本を出版し、フセイン政権の打倒を叫んでいた男である。サダム・フセイ ンの脅迫政治が諸悪の根源である、と叫んでいた男である。
この男が、イラク進攻4年を前にして失敗だったと発言している。ここまで悪化するとは思ってみなかった、宗派間対立がこれほどになるとは予想していなかった、と発言している。
アメリカはこの4年で3兆ドルをつぎ込んだ。円高ではあるが、日本円にして300兆円以上である。早い話が、日本の国家予算の4年分である。実際の金額だけでなく、失った労働力や付随してなしえなかったことなどの資産の積算額であるが、恐怖なのはこれほどまでの金額をつぎ込んだアメリカの方であ る。
当時の政府高官が「日本には、ブッシュは事実を知らされることがなかった」と発言していることである。「事実を教えてもらうことなく、小泉は支援した」とのことである。
国会は、愚にもつかない政争の場に堕落している。が、今こそ、イラク戦争を支援したことの検証をしなければならない時である。国家予算をつぎ込んで支援した戦争である。しかもその開戦理由が、全く出鱈目だったのである。
日々多数の人たちが死んでいく戦争の接待の協力したのである。侵攻の理由のほとんどが、虚偽であったことなど、なにも問われずにいることが許されて良いはずがない。それとも、この国は不条理と虚偽をを容認したままでいる、そんな国家に堕落してしまったのであろうか。
奇しくも今日は、40年前ベトナム戦争で全く武器を持たない「ソンミ村」の住民を、500名以上虐殺した日である。