そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アメリカ軍イラク撤退

2010-08-19 | イラク

アメリカのイラク撤退がようやく現実のものになりつつある。18日に、最後のイラクのアメリカ戦闘部隊が、クウェートに撤退した。数日前には、兵士応募の列に2名の自爆があり50人近くの死者、100人を超える負傷者が出ている。100818_2 決して安全とはいえない情勢であるが、それでも多くのイラク人はアメリカの撤退を歓迎している。かといってこれは決して明るいニュースでもあるまい。

ブッシュが2003年5月に根拠がない虚偽の理由によって、イラク侵攻を行ってから7年半が経過している。この間アメリカ兵の死者はは4400人を超えた。イラクの民間人は、180万ともいわれる死者を出している。国民の3割は外国へと去り、恒常的な自爆テロが絶えることがない。総選挙が終わっても組閣もすることもできない。イラクには社会不安と政治的混乱が残っているだけである。

アメリカは、07年には最大17万1千人の兵士を駐留させている。この撤退で一番安全になったのはアメリカ兵だとの皮肉る向きもある。11月までに残りの5万人の移行兵士が撤退し、アメリカのイラク自由作戦はこれで終わる。

オバマにとっては確かに、無謀なブッシュ政策の負の遺産であることについては同情の余地はある。しかし、主力をアフガニスタンに向けることのよって、イラクに次いで更なる混乱国家を残すことになるのである。中東にアメリカに対する敵対心と、社会不安と貧困を積み上げるだけなのである。

アメリカが、9.11の同時多発テロの犯人探しとその報復に明け暮れた結果である。アメリカが攻撃された理由と、そのことについての検証と取り組みがなされることなく、力の論理で「テロにつくのか我々の側につくのか」という、単純論理で括り、突き進んできたことが最大の問題なのである。

オバマになって多少の風向きは変わったものの、アメリカは世界の混乱や紛争を鎮静化することなく、拡大させるだけのように見える。

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