円安が止まらない。
2012年末のアベノミクス登場で急激に円高が進行し、2012年11月には1ドル70円台の歴史的な円高が続いたが、その後は2014年3月現在まで1ドル100円前後の水準で安定的に為替相場は推移していた。世界はアベノミクスに期待していたといえる。
そのアベノミクスの負の遺産が起こしているのがこの円安と言われている。経済の実態や実力を伴わないのは、貧困層は増えても富裕層がそれを上回ることで、日本の経済は順調と評価されていたに過ぎない。
当初、円安はアベノミクスの目的の一つでもあったが、海外資源や資本に依存を前提にした経営を推奨された農業にとって、この円安はいい迷惑である。
日本農業を規模だけで評価し、日本農政は巨大化を推し進めた 。日本は化学肥料の面積当たりの投与量が世界一である。そして化学肥料の100%が輸入品である。
規模拡大のためには湯水のように補助金が投入されたのが、日本の畜産である。その規模拡大の基盤となるのが、輸入穀物である。家畜の飼料を輸入穀物を主体にすることで、給与形態を単純化でき、農地を拡大する必要もなくなる。栄養計算も楽になる。
日本の家畜には、人が消費する量とほぼ同等の穀物が投入されている。その穀物は全て輸入品である。そのほとんどがアメリカ産である。
穀物の大量使用は家畜に高生産を強制し、家畜は発病寸前の状況となる。鶏も豚も牛も短命なるが、高生産と多頭化で農かはやりくりしてきた。利益は薄くなるが、量で補うことになる。
政府が進めてきた大規模経営は、円安の直撃を受ける。酪農であれば500頭搾乳の規模だと、収入は5億円ほどの粗収入がある。穀物の給与額は35~40%にもなり1億7千万~2億円にもなる。円安だけで10~20%も穀物価格は上がる。つまり全く同じ経営で、約2千万円~4千万円も減収になる。
化学肥料はもっと悲惨である。5~20倍に価格が上昇している。天文学的である。政府の拡大政策に乗った農家は悲惨な状況にある。政府は穀物への援助を決めているが、単年度対策なら先伸ばしたに過ぎない。
農業は本来ゼロエミッション(外部資源がない)であるが、大型農業は外部資本(高額な補助金)と外部資源(化学肥料や穀物)を大量投与することで成り立っている。円安はその無人を露わにした。
世界は21世紀は、有機農業の家族型農業が環境にも優しく、食料問題や地域紛争対策としても有効であると動いている。日本農政が世界と逆行した結果、農家を追い込む結果になっている。
金を出しても食料が手に入らない時期が迫っている。農業を循環型せ自然の摂理の沿った有機農業に戻すべきである。