硫黄島の映画が、日本とアメリカそれぞれの視点から作成されて、現在上映されているらしい。らしいと言うのは、ここが田舎で映画文化からは隔絶されたところだからである。
しかし本は読むことはできる。梯久美子氏の「散るぞ悲しき」に見る、この国を思う心は何かを考えさせられた。硫黄島で戦った兵士たちは、いかほど国を思い家族を思って死んでいったことか。
それに引き換えて、いくらかでも本土上陸を遅らせ交渉に期待し戦い散っていった戦士たちを、本国では単に捨石にしか考えていなかった。軍、政府の上層部には愛国心は微塵ほどもなく、自己保全と哀れな政争が繰り広げられていたのである。
本ブログで8月28日に自分のことを書いてみたが、私の父は「靖国で会おう」と友人と酒 を酌み交わして、私が生まれる直前に出征して、南国に散った。父は胸に愛国心を抱きながら、靖国に奉られることを望んで死んでいったが、そのために私たち家族はどれほどの労苦を負うことになったことか。母は20年程前に国から、慰労金が出るのを断った。「苦しいときに何もしてくれずに」と言いながら。
愛国心教育を恐れるのは、こうした教えられる側にこそ、愛国心が純粋な形で育まれるが、権力者にはそれがないということである。終戦の玉音放送を最も打ちひしがれて聴いていたのは、10代の青少年であったことを思い起こして欲しい。
愛国心教育は危うい内容を常に包摂している。愛国心は国を守る手段としては極めて有効であるが、国がもつ愛国心とは自己保全に過ぎないからである。
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2005-07-28
個人的に嫌いな人物や敵対者を召集して激戦地に赴任させるというやりかたも東條英機酷愛の方法で、毎日新聞社編『決定版・昭和史--破局への道』『毎日新聞百年史』に詳しい竹槍事件では、1944年2月23日毎日新聞朝刊に「竹槍では勝てない、飛行機だ」と自分に批判的な記事を書いた新名丈夫記者を37歳という高齢で二等兵召集し、硫黄島へ送ろうとした。これに対して、新名記者が黒潮会(海軍省記者クラブ)の主任記者であった経過から海軍が抗議した。新名記者は大正年間に徴兵検査をうけたのであるが、まだ当時は大正の老兵は1人も召集されてはいなかった。そこで海軍は「大正の兵隊をたった1人取るのはどういうわけか」と陸軍をねじこんだ。陸軍は、あわてて大正の兵隊を250人丸亀連隊に召集してつじつまをあわせた。新名記者自身はかつて陸軍の従軍記者であった経歴と海軍の庇護により連隊内でも特別の待遇を受け三箇月で召集解除になったが、上の老兵250人は硫黄島で戦死することになる。陸軍は新名を再召集しようとしたが、海軍が先に徴用令を出し新名の命を救った。
近代史は学校の授業では時間切れになることとイデオロギーに関するものを腫れ物のようにしているという実情も踏まえて私も今さらながら本などを読んでいます.A級戦犯の中にも悪い人間もいるしいい人間もいると思っています.
戦後の混乱期を生き延びた方はお気の毒だと思う反面、若者を納得させられるような話をされる方はすくないと思います.私の父は台湾からの引き揚げ者でした.あまり私には戦争の話をしたがらないですね.
日本人は自虐的だと思います.熱しやすく、依存心が高く、冷静になれない.自分の意見を言える人間が少ない.選挙にも行かない.やっぱり教育に問題ありのような気がします.愛国心というのは人と会ったら挨拶するのと同様な、議論するまでもない自然な行為であるべきだと思います.戦争中の異常な国粋主義を懸念されるのはわかるけど今の日本はそれ以前の問題じゃないでしょうか?