そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPPは弱小国家、弱小産業、弱小地域を破壊するシステムである

2015-08-01 | TPP
国家や地域は均等に成長しないし、同一の気候風土や歴史を持っているわけではない。民族性も宗教的な縛りや習慣も異なる。
早くから近代化して生産能力が高い国家もあれば、西欧などに支配されていたりして、生産効率も悪く技術も低く、人件費も安く経済力も低い小さな国家もある。それらの国々が育ってきた背景がある。歴史と呼ばれたり風土と呼ばれたり、時には地政学的評価によってその国は評価されなければならない。ところが近代化は、それとは無関係に世界を巡ることになった。何もしなければ、生産性が高く経済力があり、強大な武力を背景にした国家(ほとんどの場合これらは同一である)が、弱い国家(途上国と慇懃な呼び方がある)が富や資源を収奪されることになる。
そのための世界各国は、自国の産業や歴史や宗教性を守るために『関税』を設けている。輸入製品に税金を掛けるのである。
商品を輸出し購入する場合、国家なり地域を育んできた背景が、商品価格に反映されることになるが、価格差が生じることになる。当然のことである。このことは国家や地域の存続にとって極めて重要なのである。北国で生産されたパイナップルは高価であるのは当然である。安価な南国のパイナップルがそのまま輸入されると、北国のパイナップル生産業は潰れてしまう。それでも良い、パイナップルは南国から輸入すれば良い。我々はリンゴを売ろう、ということで世界貿易は成り立つことになる。
その場合であっも、国家を支えてきた産業の存続は、単に経済的な背景ばかりで評価されるべきではない。環境や風土や民族性など無数の背景があるからである。
TPPは、国家や民族や地域や風土が育んできた産業を、たった一つの評価「価格」によって行う、無関税システムである。強大な資本や国家は、当然勝ち戦になるこのシステムを、「グローバル化」という修飾語で飾り実行したいのである。
当然負け戦になる弱い国家や産業は、反対することになるが、国の権力者は彼らを擁護しない。どの国も大企業が権力者側に付くものである。
何度も何度も最終合意なる会議を重ねているが、多国間協議は複雑な利害関係が絡み合い、即座には解けることはない。私たちがそれぞれの国で育んできた、産業や文化をTPPなる無関税システムは破壊することになるだろう。後年人類に理性が残っていれば、TPPは愚かな行為だったと強く反省するに違いない。

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