そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

石田氏の受賞を受けて、小農こそが世界の未来を開き人々を救うと改めて思う

2020-03-10 | マイペース酪農

日本の畜産は輸入穀物を大量に投入して、肉や卵や牛乳を生産する形態になっている。いわば、「畜産加工業」となっている。せっかく食物が貯めてくれたエネルギーを、うんと落として高価な畜産品に変換させているのである。輸入穀物の80%はトウモロコシである。それでも20年ほど前までは、穀物を多給してもそれなりに牛も経営も健全な酪農家が少なくはなかった。これは私的な経験に基づく推測であるが、この間トウモロコシは遺伝子組み換え作物化が進行している。化学肥料や除草材のハイブリット化には著しいものがあり、そうした変化が何らかの影響を与えているのかと思われる。穀物の多給は規模拡大と並行して行われ、戸数が減少する中、国内の生産量を支えてきた面はある。
しかしながら、ただひたすら生産量を追い詰めた結果、外部資源に頼るだけでなく、外部資本、外部労働力に依存する結果となってしまった。経営も牛など家畜もも極めて不健全、不健康になってしまった。
国の支援を受けて巨大化した酪農は、キロ80円の生産費がかかっている。国が高価な牛乳を促進している結果になっている。

そうした中嬉しい報道があった。上記の朝日新聞の報道である。オホーツク海を望む枝幸町の石田幸也安夫婦が、日本草地畜産種子協会から大臣賞を受賞したのである。石田さんは放牧中心で、購入飼料はゼロ。飼料はすべて自給である。牛乳生産コストはキロ30円台。昨年十意思を呼んだのは2回だけ、野草中毒と子宮捻転の2回だけ。草地は無肥料で、所得率68%である。
これはなにも新しい技術などではない。石田さんの農業理念は、「循環農法」である。理念は<牛と草地の共生> <低投入持続型酪農の確率> <飼料自給率100%>である。乳牛72頭でうち経産牛52頭、生乳生産量334トン、草地面積68ヘクタール(ちょっと前の数字であるがほとんど変わっていないと思われる)
世界は今、家族型農業の普及を目指している。小規模の低投入型農業が健全な農産物を生産し、地域紛争を減らし、食料自給の基本となるからである。日本は国連のこうした動くに参加していない。
石田さんの受賞を喜ぶと同時に、まだ健全な農業を支援する団体がこの国に残っていることを嬉しく思う。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 長期に広範に持続的に発生は... | トップ | 滅茶苦茶なへ理屈にもならな... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ノブ)
2020-03-12 13:19:10
石田牧場さんの受賞と営農努力を喜びます。
一つ気になる事は農水省が打ちだした食糧自給率計算の新指標がある。これまで輸入穀物飼料を自給率計算に反映させていたがそれを反映させなくても良いような事を言いだしている。
これは自給率向上のだましの手口じゃないだろうか?
返信する
Unknown (nonosun)
2020-03-12 14:52:35
石田さんご夫婦の大臣賞受賞すばらしいですね。
私も間違いなくアメリカ産の牛肉はホルモン漬けが殆どで、食べさせている飼料も遺伝子組み換えのものだと思います。そして、それが味覚を満足させるものかと思いきや全然そんなことありません。
私もこうして経済が疲弊しつつある今だからこそ日本は小規模農業に力を入れ活性化し、若者も投入し、自給率をアップさせるべきだと思います。現在アメリカ在住ですがオーガニックのものの方がはるかに美味しいです。そして日本のオーガニックのものはもっと美味しいです。遺伝子組み換えだらけの食品が溢れている中で実感します。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

マイペース酪農」カテゴリの最新記事