ジュネーブに駐在する軍縮担当のロシア外交官が、ウクライナ侵略に抗議し辞任した。ジュネーブで国連軍縮会議関連の顧問だったロシアの外交官ボリス・ボンダレフ氏である。プーチンが政権の座に就いて、ずっと外交官として政権を支えていた。
ボンダレフ氏は、「私の外交官としての20年のキャリアのなかで、外交政策が変わるのを何度も見てきたが、今年2月24日ほど祖国を恥じたことはない。」また、「 この血まみれで、分別がなく、まったく不必要な屈辱をこれ以上共有できない。」 と強く政権を批判している。
驚くべきは、「この戦争を始めた人たちは、永遠に権力の座にとどまり豪華で味気ない宮殿に住み、ロシア海軍全体の金額に匹敵するヨットに乗って、無限の権力と完全な免罪符を楽しむことだ。」と、巨大なプーチン宮殿など私腹を肥やし私欲を満たす権力者を非難していた。彼らの豪華ヨットは海軍を上回る金額は、内部を知る官僚の言葉だけに信ぴょう性も高い。
ロシアのウクライナの侵略後に辞任したロシアの外交官は数人いるが、抗議の声明まで出すのは初めてであり、ボンダレフ氏は最も地位が高い人物である。
今年2月、退役軍人でつくる「全ロシア将校の会」が、ウクライナ侵攻をやめるようプーチン大統領に直訴したことは大きな反響を呼んだ。これまでプーチンを支持してきた「全ロシア将校の会」の会長、レオニード・イワショフ退役大将がプーチンの大統領の辞任までも訴えていた。声明は、もし「対ウクライナ戦争が起きれば、ロシアの国家的存立に疑問符がつき、ロシアとウクライナは永遠に絶対的な敵となってしまう。両国で、千人単位、万単位の若者が死ぬ」と、言うものである。
警告が現実となった3か月後、そのイワショフ退役大将が、ロシアの書店協会のインタビューに答え、改めてプーチン大統領に「知恵と経験あるものの意見に耳を傾ける」よう訴えている。
ロシア軍の勝利を信じる人がいるが、現実には多分1万5千人ほどの兵士が死亡している。マリウポリでは2万人以上のウクライナ人が死亡していると伝えられている。ロシアはようやく東部の二州で戦果を挙げたに過ぎない。戦力を消耗が激しく、今後これを維持できるか保障もない。高齢者や障碍者まで兵士に応募の幅を広げなくならないようでは、心もとない。逆にウクライナ側は、西側諸国の膨大な支援をうけ、マイナス材料もない。
モスプーチンに僅かでもまともな判断能力が残されているなら、白旗を掲げる今が潮時である。