朝日新聞より
8年前に自民党が伏魔殿とか都議会がブラックボックスと、自民党を正面から批判し、時のアメリカ大統領トランプの「アメリカファースト」をパクリ、都民ファーストという政党まで立ち上げた。
ネーミングが巧みであるが、都民ファーストのように時が経ち色褪せてしまいピント外れのものも少なくない。キャッチコピーで選挙時には票を集めるが、主戦言葉だけで表在的なものでしかないから、浮いたものにしかならない。
8年前に小池百合子が掲げた7つのゼロ政策は、聞こえは良かったものの、具体的であるから検証は可能である。
このうちペットの殺処分ゼロは、日本全国で私たち獣医師や動物愛護の方々の協力もさることながら、2年目に大きく改定された、いわゆるペット保護法が大きく、東京都だけでなく全国的にほぼゼロになったもので、小池の公約と無関係である。それと多摩格差ゼロは、目標も指標もなく評価から外す。
待機児童は大きく減少させたが、東京の圧倒的な少子化と無関係でない。しかし他のすべては悪化しているとしか言いようがない。軽薄であるが受けの良い言葉を前面に出す。
そもそも8年前には伏魔殿、ブラックボックスと攻撃のやり玉に挙げた自民党から嫌われて、挨拶に行っても握手さえしてもらえなかった。ところが統一教会と裏金の大所で、党員でもない萩生田光一が代表である自民党都連から推薦を受けるまでになった。
小池百合子の議会の答弁が象徴的である。議会野党の質問に知事としてほとんど答えることはないが、ファーストなど最近の自民党の質問には小池自身が答弁に立つ。つまり、小池にとって選挙が最も大きな政治活動であるが、つけて加えて出されるキャッチコピーが彼女を支える。
小池は自信が核武装主義者の極右翼であることを隠そうと努めるのは、選挙で不利に働くからである。関東大震災時の朝鮮人の虐殺も史実も否定する。
然し小池にとって思想信条は大きな問題ではない。ぶれることのない思想信条であるが、政治的な出世が彼女のほぼ全てであることは、日本新党に始まる10を超える政党遍歴が物語る。