そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

人種や民族を科学的に定義できるものはなく、差別などは意味がない

2020-09-13 | 民族

テニスの大坂なおみが4大メジャーの一つの全米オープンに二度目の優勝をした。彼女の優勝もさることながら、彼女がマスクに込めたメッセージのインパクトも大きい。日本では大きく取り上げられてないが、彼女は毎回人種差別で殺害された人の名前を黒いマスク白文字で書いたのをしてインタビューに応じていた。大坂は自らは黒人であるとも発言している。決勝まで残れたことで、用意した人物のマスクはすべて使った。このことが彼女を励まし、弱いといわれた精神面の支えにはなったと思われる。
彼女のインタビューの受け答えもこれまでにもなかった一段格を上げた感がある。そのマスクの意味はと問われ、「あなたがどう感じたかを教えてくれたら、それが目的です」と答えている。

人類の歴史は750万年ほどであるが、我々ホモ・サピエンスが誕生してせいぜい50万年しか経っていない。言葉など文明の礎になるものを獲得してからでも、10万年しか経っていない。7万年前にアフリカを出て世界に拡散して、文明らしきものを持ってからでも1万年しか経っていない。これ等はミトコンドリアなど最新の解析によって、多くのことが明らかになってきたのである。日本人の多くは2万年ほど前には大陸の平原地帯、中国にいたことが解っている。鳥取の青谷上寺地遺跡の弥生後期の遺跡の人骨の多数が大陸からの渡来人だったことが解っている。
人類が国家を形成したり民族意識を持ったのは、地域による差は大きいが、せいぜい2000年程度である。日本は皇国史観を抱き天孫降臨を国家の始まりとして建国記念日を掲げる国家観は虚偽である。ましてやそれがために命を捧げるなどという過去の歴史は恥じなければならない。
最近でも特にアスリートに様々な民族の子どもたちが成果を上げている。日本に限らず民族の壁は確実に低くなっている。
そもそも、民族は科学的に規定などできない代物、DNAで分類などでるものではないのである。ましてや国家などというものは、人間の経済や宗教や軍事力などの都合で作られたものである。国民に向けて、愛国心を鼓舞したり、民族的な優位性を強調したり差別することなど何の科学的な根拠はないのである。国家も民族も単に成り行き、歴史が生んだ虚構の産物でしかない。
国家や民族はあってはならないという主張をしているのではない。育ててくれた風土や文化や親兄弟は心のよりどころでもあるし、それを否定できるものではない。しかし、それがために、国家や民族を背景にしてそれを理由に忌み嫌い、排斥することなどはってはならないことなのである。

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