根室沖で日本の漁船が拿捕されて、漁師が一人殺害された。停戦警告もなくいきなり撃ってくることは、常態であると密漁する漁師たちは一様に口にする。この問題の本質は、領土問題である。
その北方領土変換を、四島一括とする案に対抗するように先ず二島返還を要求する、二島先行返還論が時折現実的な話のように取りざたされている。二島とは歯舞、色丹であるが四島の2%程度の面積しかないが、これに伴う海洋はかなり広く、しかも根室に近いのである。旧島民は二島先行返還論にはこぞって反対するが、豊富な海洋資源を毎日のように見ている漁師は大賛成である。鈴木宗男や鳩山由紀夫などの政治家たちが唱える 先行論は利権を背景にしているといえる。
ところで、これらの島々は本当はどこの国のものであるか、誰のものであるか現在の国家間の論争以外にはないよう見受けられる。ロシアのものでないことは確かであるが、日本が領土を主張する以前には、アイヌなどの先住民族がいたことがなんら考慮されていない。ヨーロッパ人が、こんな極東に領有権を主張することすらおかしいが、日本とて高々200年程度の権利主張である。先住民族は国家としての基本的な、領土、政治体制、法律、通貨などを持たない共通点があるが、彼らの権利を認めると、南北アメリカやオーストラリアさえ国家の存亡を問われることになりかねない。しかしながら、イスラエルが2000年前の国土を主張するのであれば、北方領土は先住民族に戻すことが本当でないだろうか。
アイヌ民族が日本から独立する運動に尽力してくれ
北方領土が「固有の領土」だなどと言う駄法螺をふく方々は、固有の領土であることが領土保有の理由にならないことを知らないんでしょう。
我が国が「固有の領土」論を取っている限り、本当は領土返還を望んでいないのだと理解すべきでしょう。
さて、南千島について先住民に所有権があるはずだと言うご意見ですが、ちょっと補足させてください。
先住民権は国際法上の権利で、日本国家がどう言おうがアイヌ人の基本的人権として国際社会が保護します。
ところが、その具体的な内用は先住民権団体が各国家と交渉して決めることになっています。
我が国でアイヌ人を代表するのはウタリ協会でしょうが、このウタリ協会が島の領有について統一した要求を出していないのです。
彼らが自治区として南千島を要求すれば当然最優先で取り上げなければならないのですが、現状では取り上げようがありません。
また、ロシア側もアイヌ人の先住民権を認めていますが、サハリン州はアイヌ人をカウントしておらず、社会勢力としてアイヌ人は存在していないのです。ですからロシア側においても南千島をアイヌ人の自治区として要求する動きがないのです。
理論的には、みなさんのお考えが100%と正しいと思いますが、以上の理由から具体的な動きが何もありません。
なお、この件は鳩山由紀夫氏と直接お話していますので、少なくとも民主党はよく分かっています。
自分もかねてからそういう考え、持ってました。「北方領土は日本固有の領土です」って、まるで古事記・日本書紀の時代から日本だったみたいな宣伝をしているけど、本当は全然違うんですよね。日本人が足跡を残してから200年しかたっていないんですから。
文化史的に見てみると、北海道・樺太だけでなく、ウラジオストックなどの大陸にも共通した文様・生活様式などの広がりがあり、海上交易を前提とした素晴らしい文化圏があったようです。高度な倫理観と美意識を持った文化圏が、近代の我欲優先暴力的来訪者により破壊されたのは、ネイティブアメリカンやアステカの例を引くまでもなく、近世の常識とも言えます。アイヌの誇り高いリーダーが、松前藩との会合の席で毒殺された話など、いつか小説にしてやりたい!! と思っているところです。
僕が学生時代を送った釧路にもアイヌの大型遺跡のようなものがありましたが、その由来に関してはほとんど記録が残っていないようで、まともな説明は目にしたことがありません。
「領土、政治体制、法律、通貨などを持たない共通点」というのは、現代社会の視点からすればそうかもしれませんが、彼らとしては、おそらく必要十分な交易手段を持ち、自然と共に深い精神性を持って暮らしていたのだと想像します。
北海道にはアイヌ語の残存資料がありますが、極東ロシアのネイティブ言語は、どのようなものだったのでしょうね? もうそういうことは過去に消えてしまっているのでしょうか・・・
20世紀の小文化圏破壊の現実といえば、レヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」が、本当に悲しいほどあけすけにレポートしていました。「アイヌ・イコール・木彫りの熊」みたいな現実は、世界中で、古くから、見られる悲しい現実のようです。