私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

世界を売った男

2019-03-19 21:33:25 | たまに読んだ本

朝、車の中で目覚めた刑事。捜査中の事件の事を考えつつ、自分の勤務している警察署に向かうものの何かが違う。自分が知らない間に6年もの時間が経っていたことに気づく刑事。

ミステリーとタイムトリップの融合なのか?などと突っ込みを入れる間などない。6年が経ってしまっていることを周囲に隠しつつ、もう一度6年前の事件の謎を追いかけることになる刑事。

6年の謎を解くカギがどこかにあるはず、案外簡単にその謎は解けるはず、騙されるな・・・と思いながら読んでいても、狭い香港の中をスピーディーに駆け回る展開にあっという間に飲み込まれてしまう。謎を解くために、次の場所に向かうのも、狭い香港ではあっという間なのだ。読みながら「あれ?」と思うところがあっても、そのパワフルな熱気に押され、立ち止まって考える暇がないのだ。眠らない街香港の熱気を感じながら、勢いに乗って読み進めたい本だ。

*****

 

 

世界を売った男 (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

82年生まれ、キム・ジヨン

2019-02-19 21:15:21 | たまに読んだ本

1982年生まれの女性、キム・ジヨン。

不本意な差別と認識する前から、現実として立ちはだかる壁の数々。女性として生まれたことだけが理由の壁を、不思議に不本意に思いながらも、やり過ごしていくしかない日々。
母も家族も労ってはくれるものの、解決策を示してくれるわけでもない。選択肢を増やしてくれるわけでもない。
壁など気にしないかのように過ごす日々の中で、心の中にたまった澱が、ある時堰を切ってあふれ出す。ある時は実母の声で、ある時は友人の声で・・・・自己防衛とも思える、他者の言葉で自分の思いを伝えようとする様子に胸が詰まる。

本は明確は解決策を示してはくれない。話は現在形で続いていくかのようだ。

******

小説というより、新聞の特集記事を読んでいるような気分になる。「プライバシー保護のため詳細は少し変えていますが、ほぼ事実です。」というコメントがどこかに見えるような気がする。



*****

この本を読みながら、私も忘れたつもりになっていた昔の色々な事を思い出した。

「女の子なのに男勝りで困ります」と書かれた小学校の通信簿の言葉。
「点数は、女性は一律7掛けにするから。男性は項目によって加点があります。」と注意を受けながら、作成した人事評価一覧表。
「30過ぎても結婚出来ず、子どもも生まないで仕事をしている女の人の事を、本当は惨めだと思っているんだよ。皆、遠慮して本当の事は言わないから・・・・僕は君の事を思って教えてあげているんだ」と真顔で私に忠告してくれた知人男性。


 

 

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

クリエーター情報なし
筑摩書房

カササギ殺人事件

2019-01-12 20:54:04 | たまに読んだ本

編集者が自分の担当する作家の人気シリーズの第9作目を紹介するところから始まるミステリー。名探偵ポアロのように次々に難事件を解決する探偵シリーズはベストセラーでテレドラマ化も予定されていると、あたかも存在するシリーズ物のように語られる「アティカス・ピュント」シリーズ。学生時代に読んだアガサクリスティーを思い出させる古典的なストーリー展開に懐かしさを感じる前半、そしてもう少しで犯人発覚というところで、なんと話は大反転し、後半は編集者自身が事件の当事者になるという現代パートになるのだ。

クラシカルなマトリョーシカを開けたら、中からは真新しいかなりこじんまりしたマトリョーシカが出てきたという感じか・・・私は前半、クラシカルミステリー部分の「アティカス・ピュント」シリーズ部分が好みだったのだが、1冊の本でありながら2冊分楽しめるというマトリョーシカ方式がこの本の一番の特徴。作中作品と現代パートを読み比べ、マトリョーシカであることの醍醐味を感じるという事を放棄してはいけないのだろう。

 

追記:年末ミステリランキング全制覇!作品・・・

 

 

 

 

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

クリエーター情報なし
東京創元社

コールド・コールド・グラウンド

2018-08-14 21:45:25 | たまに読んだ本

1980年代、北アイルランド紛争の最中に起きる殺人事件。

事件を担当するのは、プロテスタントが多数を占める警察の中である意味異端とも言えるカソリック教徒の巡査部長。

事件そのものにも警察内部にも北アイルランド紛争の影は色濃く見える。話の展開が加速する後半と違い、前半はそんな時代背景が重苦しくのしかかる。

事件と警察内部のパワーゲームに翻弄される巡査部長は、酒と音楽で精神の安定を保ちながら、捜査に当たるのだ。

******

ちょっと格好つけすぎじゃないだろうかと思いながらも、海外ミステリーらしい設定に酔いながら、読み進める。

私はオペラについては全く分からないので、その代わりに、ブロンディのコールミーとヴァンゲリス 炎のランナーが読んでいる間中BGMのように聞こえてきた・・・

 

 

 

 

 

コールド・コールド・グラウンド (ハヤカワ・ミステリ文庫)

クリエーター情報なし
早川書房

特捜部Q 自撮りする女たち

2018-03-06 21:22:02 | たまに読んだ本

特捜部Qシリーズの第7弾。

女性を狙ったひき逃げ事件、更には老女殺害事件と過去の事件の関わりを中心に、結果的には特捜部Qチームはいくつもの事件を平行して追う展開。しかし今回は現在の事件というよりも、特捜部Qチームのメンバーであるローセの事件がチーム内に大きな影を落とす。

現在の事件は、自撮りする女たちが道を外れていく過程が非常に傲慢であり、自意識過剰だ。恵まれない環境にいる不満を、別の誰かを卑下することで解決しようとする展開は、目をそらしたくもなる。しかし、シリーズ物のいいところは、現在の事件を追いつつも、チーム員の人生を感じる事が出来るところだ。

やや理不尽な事件に対するフラストレーションとともに、チーム員のローセを助けようと尽力するメンバー達の友情がシンクロする。

シリーズ物の醍醐味を感じさせる1冊だ。

******

 

 

 

 

特捜部Q―自撮りする女たち― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

クリエーター情報なし
早川書房

2018-02-23 20:47:27 | たまに読んだ本

 

1975年の台北。大陸から逃げて台湾にやって来た祖父が殺されたことをきっかけに普通の学生だったはずの青年の毎日が動き出す。

祖父殺しの犯人は誰なのかと思いながら読み始めたのだが、物語はアジアを舞台にした壮大な青春物語となっていく。

中国から逃げてきた祖父が歩んだ道。外省人と内省人の力関係が複雑に絡み合う台湾の状況。時間が経ち経済圏が広がるにしたがって、人の流れはどんどん外に広がっていく。時間の流れ、人の流れ、そしてその流れに乗って学生から大人になっていく青年。

******

読み進めながら、映画@悲情城市で見た二・二八事件の事や牯嶺街少年殺人事件で見た1960年代の台湾の事、そして2014年の夏の終わりに訪れた台湾の風景を思い出さずにはいられない。

映画のストーリーで感じた台湾の歴史を小説で再確認する作業は私にとってこの上もない楽しい時間だった。

 

 

 

 

悲情城市 [DVD]
クリエーター情報なし
紀伊國屋書店

 

 

牯嶺街少年殺人事件 [Blu-ray]
クリエーター情報なし
Happinet

 

流 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

がん消滅の罠 完全寛解の謎

2018-02-20 21:46:50 | たまに読んだ本

余命宣告を受けた時点で請求する事が出来る保険を請求するガン患者。
しかし、そんなガン患者のガンが消えてしまうという事が頻発する。

謎解きは割と淡々と進む。
しかし、その先にある別の真実は、ガン消滅の謎解きとは、全く別の種類のもの。

謎解きの面白さはあるものの、ストーリー自体は本当に淡泊。しかし最後の最後に見せられる場面は、静かではあるがどのように受け止めればいいのか・・・

人の心の揺れは、簡単には寛解しないだろう。。。

 

*****

私はもっとアクションだの強烈はパンチがあるミステリーが好きなのだが、医療ミステリーもたまには雰囲気が変っていていいものだ。

がん消滅の罠 完全寛解の謎 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)
岩木 一麻
宝島社

戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊

2017-12-27 21:12:56 | たまに読んだ本
赤い帯に書かれた「中国3000年の歴史の必然…9億人の農民奴隷は2020年に蜂起する」という言葉にややビックリするが、自分の専門分野からの視点で見た中国の話は具体的だが、それだけにこだわらない広さと説得力を感じさせる本だ。


第一章 九億の農民から搾取する都市住民
第二章 中国人民解放軍が世界一弱い理由
第三章 田中角栄なき中国農民の悲劇
第四章 アメリカへの挑戦が早めた崩壊

********
「中国の農村は本当に貧しいです・・・」
 
第一章を読みながら、いつもは「もういいよ・・・」と言ってもしゃべり続ける中国人の同僚が、この話題が出た時だけ、目線を下げて小さな声で、こんな事を言っていたことを思い出す。

ただ、私にとって面白かったのは、むしろ第二章だった。

******(これは私の小さな悩みだが・・・・)*****

「期日までに提出物を出さない」「備品を指定場所に戻さな」小さなビジネスルールを守らない中国人同僚の行動を理解できない時がよくあった。
ルール違反を指摘すると、思いもつかないような言い訳(本人的には理由説明)を繰り返す。何度も同じルール違反が続いたりすると、こちらもその都度注意するのをひるんでしまうが、ここでひるんではいけない。ひるむと「ルール違反してもいい」というのが標準になってしまう。小さい事でも都度都度しつこく注意するのだが、そうすると、返ってくる言い訳が、なんとなく「そんな小さい事を許してくださいよ」モードになる。更にその小さい事をいつまでも注意していると「なんだか注意している私の方が「こんな小さい事をいつまでも注意する心の小さい人」というような・・・・・「私の小ささ」がだんだんクローズアップされるような図式になってくる。
こうなると、向こうの言い訳の方が分が良くなってくるという。。。。。こんな事がたびたび繰り返される・・・

第二章を読んだ時、どうしてそのような行動をとるのか?どんな風に考えればいいのいか?そのヒントがここにあると目からうろこだった。

****
科挙によって選ばれたエリートが主要な地位を占めている中国では武士道や騎士道の倫理はなく、官僚による陰謀や汚職が蔓延・・・・現在の外務大臣や報道官の言い草がなんとなく言い訳がましいのは、心のどこにも武士道や騎士道がないから・・・・

「約束が絶対ではない社会」という社会が存在すると思っていなかった私の甘さを認識させてくれたのが、第二章で書かれている『武士道も騎士道もない中国の悲劇』という箇所だ。

*****
本を読み、納得し、さらにそれを自分の体験に落とし込んで考える・・・・
大げさかもしれないが、読書の醍醐味を実感する出来事だった。

******
追記:
本の中でカリスマ性が全くないと酷評されていた習近平の新聞記事が気になる。
これも本を読んだおかげだろう。

2018/1/1から人民武装警察部隊の指揮権を習近平がトップを務める中央軍事委員会に一本化するとのこと。政変に利用されることを防ぐためだといわれている様子。

そして10月に行われた共産党大会の演説での拍手が71回だったという記事。

新聞記事だけ見ると、彼に全権力がスムーズに集中しているようにも思えるが、この本を読んだ後は、必死に権力にしがみつく裏の構図にも注意しなければと思う。





戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊 (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社

表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

2017-09-28 21:31:25 | たまに読んだ本
5日間の夏休みが取れそうだとマネージャーから聞き、3泊5日のキューバ旅行を計画して、一人キューバに旅立つ。
そんなキューバ旅行記のはずなのに、本はキューバに旅立つ2年前の初ニューヨークの思い出から始まるのだ。
ニューヨークで感じた奇妙な感覚から、旅行会社のお姉さんに、キューバに行く理由を初めて会った人に事細かに説明する必要もないかと、テレビ番組のナレーションをそのまま拝借して旅立つ準備をしていく彼。

旅に出る高揚感だけでなく、旅をしながら何を考えているのかが面白い位リアルに伝わってきて、最後にはなんだか居住まいを正したくなる気分にさせてくれる。

*****
オードリーのピンクベストの春日さんがぶっ飛んだ人だというのはなんとなく認識していたのだが、相方の若林さんがこんなに素敵な文章を書く人だとはちっとも知らなかった。

たまたま本屋で平台に並べてあったので手に取っただけだったのだが、「本屋さん 平台に一冊だけ残しておいてくれてありがとう!」とお礼を言いたいくらいだ。

本当はもう少しいろいろ書きたいが、今日のところは本屋さんに感謝の気持ちを伝えるのが一番の目的....


******
追記
この本を読んだ後、新聞でも急にキューバの記事が目に入るようになる。
本を読んで急に頭の中にキューバというキーワードが入る場所が出来たせいだろう。

2017/10/4
アメリカのトランプ大統領が、キューバ大使館で発生した原因不明の聴覚障害に対抗してキューバ外交官に対して退去要請を出したという記事
(アメリカが色々やりあっているのは、北朝鮮だけではないのだ・・・)

2017/10/7
一般家庭でもネット接続がようやく開始されたという記事





表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
クリエーター情報なし
KADOKAWA

特捜本部

2017-09-14 21:28:50 | たまに読んだ本
警察物が好きな私でも、全部読むのはなかなか難しい位多作の堂場瞬一。
その数の多さから一定のパターンのような物が見えてしまうのが、弱点にも思えるのだが、それは逆に安定の大定番とも言える。
先が気になって物事が手につかないというのではなく、落ち着いてある程度先を予測をしつつページをめくることができる安心感・・・・
バラバラ殺人事件の話なのに、安心感と言ってしまうのもどうかと思うが、ついつい本屋で見ると購入してしまうのはそんな所にある。

よって毎回毎回、感想を書くのはちょっと....なのだが、今回感想を書こうと思ったのは、刑事である主人公が自分の所属する捜査一課と公安との存在意義の違いに翻弄されていたからだ。
「公安は国家の安全を第一に考えるので、一個人の安全から考えると全く逆の方向に向かう場合あり」

公安が登場する警察物では、同じような文章を時々目にするが、最近、なんだかきな臭い話をニュースで耳にすることが多いせいだろうか。
こういう文章が妙に気にかかったりする。


特捜本部 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社

ジャンプ

2017-09-08 21:09:24 | たまに読んだ本
ジャンプ (光文社文庫)
佐藤 正午
光文社



先日の直木賞受賞作が@月の満ち欠けと発表された時から、以前読んだこの本の事がずっと気になっていた。

最近はなかなか本を読む時間が作れないのだが、時間を作って受賞作の@月の満ち欠けも読みたいし、もっと時間が作れたら@ジャンプもまた読み返したい。
かなり衝撃を受けた本で、何度も読み返した記憶がある。恋愛小説なのかもしれないが、私自身は@人生はサスペンスに満ちている・・・と思った本だ。

誰かに何か本を勧めるチャンスがあったら、この本を勧めたいと思っている位好きな本だ。



******
本については書き残した物はなにもないのだが、映画については以前のHPに書いたものが残っていた。

*****以下 当時のHPの文章のまま******

子どもの頃読んだ物語を思い出す。旅に疲れ木陰で昼寝をする青年。その青年が寝ている間に青年の身に様々な出来事が降りかかるのだが、あと少しというところで様々な邪魔が入ってしまう。そして昼寝を終え、すっきりした青年はそんな事があった事など気付きもせず、旅の続きを普通に続ける。確かそんな話だったと思う。
人の人生は様々な可能性と様々なもしもの上に成り立っているが、もし自分の身に降りかかる全部のもしもを知ってしまったら、人は後悔と嫉妬で気が狂ってしまうだろう。知らずにいたほうが良いことも世の中には沢山ある。確かそんな話だったと思う。

「ラストシーンの衝撃は主人公ばかりでなく観る者の心をも揺さぶる」
主人公三谷も衝撃は受けただろうが、一人ホームでりんごを齧る彼は受け入れたように思える。受け入れることが出来たのは5年経ったからだろうか。しかし私は彼がそれを受け入れたことに衝撃を受けた。そして5年経って「もしもあの時私の帰りを待っていてくれたとしても、きっと今同じ場所にいると思う。結局ここにいると思う。」そう言い切るみはるの頭の良さに感心する。確かに何故あの時、もしもあの時・・・・と思う話ではあるが、たしかに観ている間なんとなく覚える違和感がずっと画面上には漂っていたのだから。もし、もし・・・・無数のもしも結局は自分の選択の上に成り立っているのだ。私にとっては怖い映画だった。ゾンビリメイク版などよりずっと背筋が凍る思いがした。

色々な媒体で好評だったのは知っていたが、本当に原田泰造がいいのでびっくりする。ネプチューンやっている場合ではないだろう。
笛木優子も牧瀬里穂と好対照で、上手いかどうかは別にしてあっさりした感じが役柄にあっていた。
*******

ジャンプ [DVD]
クリエーター情報なし
バンダイビジュアル



青春怪談

2017-04-22 16:50:37 | たまに読んだ本
青春怪談 (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房



戦後育ちのクールな恋人同士が、恋愛するチャンスを逃し、独り身の親同士を結婚させようとするコメディなのだが、所々に描かれる戦後の描写を除けば、思いのほか自由な雰囲気だ。
クールな恋人同士は、今の時代なら結婚そのものに疑問を抱くんだろうが、制度そのものに疑問は抱かなくても、自分は何者なのかとか、今で言うと、LGBTについて真剣に悩んだりしている。
時代という制約はあっても、精神はある意味今よりも自由なのだ。

それでいて、楽しいコメディだった。

復刻版に感謝。

毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代

2017-02-09 20:58:46 | たまに読んだ本
消費や都市の動向の分析を専門とする著者の文章をキーワードを中心に取り纏めた本。
ちょっとした隙間時間に読めるので、私にはこういうスタイルの本はありがたい。

*********************

「自己関与性」というキーワードでは最近人気が復活しているLPレコードについて取り上げている。
スマホで音楽が気軽にダウンロード出来るこの時代に、プレーヤー、アンプを購入し、ジャケットからレコードを出し、静かにレコード針をレコードに上に静かにおく。
そういう手順を踏んで音楽を聴くということに楽しさを見出す。自分で何かをする余地があり、その手順に楽しさを見出す。それが事故関与性ということらしい。

*******
先日ラジオでクリス・ペプラーが「レコードを出したいアーティストは沢山いるが、レコードのプレス工場が日本では1か所しかないため、込み合っている。ある程度のロットでないとプレス出来ない・・・」(たしかこんな内容だったと思う)という日本のレコード制作状況を語った後、「レコードって茶道だと思うんだよね。ダウンロードしたやつは簡単に聞けるけれど、レコードはジャケットを眺め、中袋から出して、ターンテーブルに置いて、その後針をレコードの上に落として・・・・手順があるよね~茶道も手順があるでしょ。そういう手順を踏むのが楽しいんだよね~(多分こんな内容だったと思う)」と語っているのを運転しながら聞いたのだが、まさしくこれが「事故関与性」ということらしい。

******
ラジオで聴いた話があったからこそ、この本の「自己関与性」のパートもすっと理解できた。
キーワードに気づかなくとも、自分でも無意識のうちにキーワードを気にしつつ会話に取り入れたり、物事を考えているのかもしれないと思ったりする。

毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代 今を読み解くキーワード集 (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社

北京から来た男

2016-12-15 21:48:53 | たまに読んだ本
スウェーデンの小さな村で起きた惨殺事件が、時間をさかのぼってアメリカにそして中国に繋がっていく。

物語の冒頭、そしてそれが思わぬ所に繋がっていく様子などは非常に重厚な感じなのだが、それが謎解きとなると、犯人がそこまで殺人にこだわる理由がうまく伝わってこない。長い年月、さらに地球をそれこそ一周する位の距離を超えた謎であるはずなのに、犯人の悲しみや憎しみが倍増して伝わってこないのだ。

正直、物語の謎よりも、
ヨーロッパの人が変わりゆく中国に対してどんな感情を持ち、どんな風に興味を感じているのか、そちらが気になったし、、興味深かった。

北欧ミステリーを楽しもうとしたのだが、なんだか、不思議な気分だ。



北京から来た男〈上〉 (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

大人のおしゃれDo!&Don't ババア上等! 余計なルールの捨て方

2016-09-16 21:52:51 | たまに読んだ本
去年まではそこそこキレイに着られていた服がなぜか今年は今一つだ。
先週はまぁまぁだと思っていたスカートの丈がなぜか突然しっくりこない。
コンビニの自動扉に写った自分の姿が、自分が思っているよりも妙に老けていることに気づく。

*****
どれもここ最近の出来事だ。
家族もおらず、一人暮らしだと、誰も厳しいことを指摘してくれない。
そんな私には、こんな風なオバサマの厳しい一言はありがたいもの。
オシャレ本にも関わらず写真はなく、更にバブルの時代を通り抜けたオバサン世代故、金銭感覚もふつうよりはやや高め。
ただ、考え方見たいなものは、伝わってくる。

私自身は「ミッシーコーナーを制する者がオバサン臭さを制する」に深く納得。
いろいろテクニックを使ってオ、バサマ達の今のサイズ感にぴったりな洋服を準備してくれているコーナーを素通りするのはもったいないなと納得。

******
金銭的にちょっと違うなと思うところは、●掛(自分の懐具合と相談した数字を入れればいいと思う)で考えて、最後まで読破。


大人のおしゃれDo!&Don't ババア上等! 余計なルールの捨て方
クリエーター情報なし
集英社