私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

心が折れる職場

2016-08-18 21:41:18 | たまに読んだ本
昨年の12月にストレスチェック制度が始まってから、様々な会社でそれに向けた研修が行われていると思う。

ただ残念なことにこの制度は、50人以上従業員がおり、衛生委員会が設置されていることが制度運用の前提条件だ。
もちろん50人に満たない会社でもキチンと委員会が設置されている会社はストレスチェックを行うことができるだろう。
ただ、従業員人員が少ない会社はやっぱり体力不足の所が多いと思う。
「本業に注力したいから。」という理由から、たとえ資金的に余裕があっても、自主的に委員会を設置している会社は少ないと思う。
余裕のない会社は当然メンタルヘルス研修などない。
余裕のある会社でも半日メンタル研修を行えばいい方だろう。

正直、この本を読んだ方がメンタルヘルス研修を半日受けるより何倍もためになる。

研修を受けられる会社にいる人は、読みながら自分の受けた研修内容を振り返ることができるだろうし、研修などを行う余裕のない会社の人は、自分の置かれている状況を本を読むことで客観的に振り替えることが出来るだろう。

どんな立場の人にも、本の内容を自分に置き換えて考えることが出来るケースが取り上げられており、それでいて、誰にでも解決方法を見つけられるヒントを与えてくれる優しさのある本だ。
書いてあることは立派だが、これは出来ないという、突き放された寂しさを感じることはない。


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私の勤務先も従前は委員会を設置していたが、従業員が少なくなったことで委員会の設置を止めてしまっていた。
ただ、経営陣はストレスチェックの事は報道などで耳にしていたのだろう。
説明を求められたので制度運用の条件を説明したところ「やる必要がないならいらないね。そもそも具合が悪くなったら、自分で病院に行ってもらえばいいんだから。。。」とちょっと冷たい反応が返ってきた。

普段から寄り添うとか、そういう雰囲気はないな~と思っていたが、やっぱりな・・・・ちょっと残念という気持ちだ。

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ただ、同じようなことを考えている同僚同士、誉めたり慰めあったりしているので、幸いなことに心は折れずに今日に至っている。

心が折れる職場 (日経プレミアシリーズ)
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社

お茶の時間

2016-07-24 19:32:06 | たまに読んだ本
先日、韓国語を教えてもらっているSさんから「益田ミリって知ってますか? 漫画家ですか?それともエッセイストですか?」と聞かれたのだが、一冊も読んだ事がないことに気づき、試しに一冊と手に取った本。

表紙の「カフェが自分の部屋化していることないですか?」というコメントに深くうなずけたせいか、「そうそう」と思えるエピソード率が高かった。
「共感および同感」コミックエッセイに一番必要なものだろう。

「絵がややシンプルすぎるかも」と思いつつも、「共感度、同感度」が高いため、満足度もかなり高い。

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コミックエッセイの難しいところは、自分の立ち位置なんじゃないだろうかと思っている。
普通感を打ち出そうとしても逆にそれを上から目線ととらえられたり、ダメダメ感で親しみやすさを打ち出そうとしても、失敗して共感どころか疎外感を生み出すケースもあるだろう。
各種コミックエッセイを読み、各種読者レビューを読んだ中で、私が勝手に感じたことなのだが、この本は「カフェ自分の部屋化」という人を確実に味方につけていると思う。

著者の他の本を読んだことがないのではっきりしたことは言えないが、カフェでのお茶時間が好きな私には好感度が高い本だ。

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著者の益田ミリの本は韓国でも翻訳されており、かなり読者を獲得しているらしい。
Sさんも韓国人の友人から彼女の本を勧められているようだった。最近は韓国でも同じような独身女性の書くエッセイというのが出てきたらしいのだが、以前は独身女性が書くエッセイというのがかなり珍しかったため、かなり話題だったらしい。
(この本の中にも韓国でのサイン会の事を記した箇所あり)





お茶の時間
クリエーター情報なし
講談社

40歳になったことだし

2016-06-26 19:22:54 | たまに読んだ本
コミックエッセイの中でも独身であることを人一倍意識し、それをいろいろネタにしている作者が、一念発起して東京にやって来ることを中心に書いたエッセイ。

今までも「田舎で独身は結構辛い・・・」という一点だけでいろいろ話を広げてきたのだが、上京物語だけでも取り上げ方をいろいろ工夫すれば面白い話になったと思う。

話は面白くないわけではないが、今回は絵の描きこみ具合がシンプルすぎる。彼女の場合、ヘタウマ系の絵だから、シンプルにすると一挙に手抜き感が倍増する。別の方向を模索していたのかもしれないが、残念なことに全部裏目に出ていると思う。今まで持っていたお得感が一挙にどこかに行ってしまった感じだ。

目印らしきもののない住宅の樹海で迷子になるとか、メールとファックスでなく、顔を見ながらの打ち合わせに力が入り過ぎるとか、結構あるあるネタを膨らませる余地があったと思うのに・・・・・・

今までの作品の事を考えると、非常に残念な感じがしてならない。
いままでは新刊が出ると、無条件で手に取っていたが、今後はちょっと難しい感じだ・・・・・



40歳になったことだし
クリエーター情報なし
幻冬舎

ラスト・コード

2016-05-12 21:31:03 | たまに読んだ本
父を殺された女子中学生を警察署に送り届ける途中に何者かに襲われる刑事。
通常なら事件になるところを何故か上層部にもみ消されてしまう。まるで事件などなかったかのようにされたことで不信感を感じる刑事。

中学生なのに一人アメリカ留学中に父が殺され、更にその娘まで命を狙われるという、かなりアメリカ映画にありそうな筋立て。更にその少女もいかにもアメリカ映画に出てきそうな生意気な少女なのだ。
舞台がアメリカなら、これがB級アメリカ映画ならありそうな筋立てなのだが、舞台は日本だ。警察上層部が事件をもみ消そうとするなら、もう少し陰湿にバタバタといろいろやるんじゃないだろうか。ただただ黙って見守るだけなので、なんだか手抜きに思えるストーリになってしまっているのだ。

ただミステリーでは私立探偵と少女の組み合わせは、ゴールデンカップルと思えるような面白い本も多い。
(文庫本の解説にも@ディック・ロクティの「眠れる犬」が紹介されていたが・・・)
ただ、日本を舞台にするとどうもその組み合わせがカラッとしたものにならないようで、残念だ。

堂場作品の定番ともいえる他シリーズの登場人物が脇役で出演というスタイルも、今回はやや不発。このスタイルはやり過ぎると逆に嫌味になるものだ。

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解説で取り上げられていたディック・ロクティの「眠れる犬」を何十年かぶりに読みたくなった。



ラスト・コード (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論新社



眠れる犬 (扶桑社ミステリー)
ディック ロクティ
扶桑社

やがて、警官は微睡る

2016-04-08 22:06:07 | たまに読んだ本
新規オープンした横浜のホテルで発生した立てこもり事件に偶然居合わせた刑事。
捜査で現場に居合わせたのではない。突然当事者になり、新人ホテルマンと一緒になって混乱を収拾しようとする刑事。

犯人捜しの面白さというよりも、自分がそこで何をすべきなのかという点に焦点を充てたストーリーになっているので、やや長めながら割と読みやすいストーリー展開だ。
おどおどした新人ホテルマンが、突然谷に落とされた獅子のようにみるみる別人になる様子さえ除けば、そのほかのキャラクターは自分の役割をきっちりこなそうとしている感じだ。
それは立てこもり事件を起こした犯人も同じだ。
犯人たちの行動は凄惨であるにも関わらず、ミッションをこなすという形で淡々と事を運ぼうとしている感じがあるため、刑事たちとの温度差がかなりある。

緊迫というより、妙な知恵比べという雰囲気がある。

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犯人たちには明確なミッションがあるのだが、そのミッションを遂行する場所に、わざわざ公共性が高い場所を選ぶというのがなんとも面白いなと思う。
公共性の高い場所の中で密室を作り上げ、不特定多数の人が行きかうホテルの中で自分を消そうとする。
誰もいないところで何かをこっそりするのではなく、大胆に目立たないように事を進める。そういう設定にホテルはぴったりかもしれない。

やがて、警官は微睡る
クリエーター情報なし
双葉社

カルニヴィア2 誘拐   カルニヴィア 3 密謀

2016-03-03 21:23:13 | たまに読んだ本
イタリアの米軍基地で人骨が見つかったのと時を同じくして米軍少佐の子供が誘拐される。
イタリア憲兵隊の大尉カテリーナと米軍の将校ホリーはそれぞれの立場で捜査を行う2作目誘拐。
そして海岸で見つかった死体と秘密結社との関係を調べ始めたことから始まる3作目密謀。。。。

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イタリアにある米軍基地の存在がこのシリーズの隠れた主人公のように事件の後ろに浮かびあがってくる。
イタリアで育ったホリーはイタリアを第二の故郷のように感じているものの、立場があくまでも米国の軍人だ。
イタリア人であるカテリーナとは同じ事件に向き合うにしてもそのスタンスは自ずと違ってくる。
いずれの事件もその裏には米軍基地の存在が見え隠れする。権力、資金力の象徴のような基地が事件の背後にあるのだ。
利害関係は複雑に絡み合うし、一つの事件は見る場所によって立場によって全く違う姿を見せる。

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ヨーロッパから見たアメリカ、アメリカから見たヨーロッパ各国にある米軍基地の存在。
ミステリーを楽しむだけでなく、そのパワーゲームについても色々考えざるを得ない。
日本にも米軍基地は沢山ある。同じような経緯で基地が作られたのか、今はもう改めて語られることも少ないその経緯について、この本を読みながらいろいろ考えてみる。
シリーズ全体にCIAが暗い影を落としているのだが、この話を日本に置き換えることが出来るんだろうか?とミステリー以外の事にもいろいろ思いが及んでしまう。



ハヤカワミステリの60周年記念作品

1作目のカルニヴィア 1 禁忌を読んでから随分時間が経ってしまったが、2作目、3作目と続けて読んだので一緒に感想をアップ。


カルニヴィア2 誘拐
クリエーター情報なし
早川書房



カルニヴィア 3 密謀
クリエーター情報なし
早川書房

ボクの妻と結婚してください。

2016-02-19 21:09:07 | たまに読んだ本
ボクの妻と結婚してください。 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社


余命6カ月と宣告された放送作家である夫は、残された時間をどうやって自分らしく過ごそうとするのか。
残される家族である妻は、それにどうやって答えようとするのか?

あり得ない優しい嘘にチャレンジしようとする企画は、心優しいものではあるが、二人が交わす言葉は、映像があってこその言葉に聞こえ、二人の会話以外の部分は、詳細なト書きに思える。
やっぱり心優しい嘘に寄り添うには、映像が必要なようだ。

吉田羊が映画の中でどんな心優しい嘘を演じるのか…
そこは楽しみだ。

日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?

2016-01-24 19:14:45 | たまに読んだ本
本の感想というより、いろいろ思い出した事がある。

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韓国人の同僚に『「美容院でどこかお痒いところがありますか?」と言われても、ほとんどの日本人は「大丈夫です。」と言うと思うよ。』と話すと、「お客さんとしてのマナーを守った上での不平不満であれば、悪いことでないのだから、キチンと言うべきだ。誰も文句を言わないのだから、このサービスでいいと思ったら、サービスの向上はない。」という言葉が返ってきた。

正直、「痒い所がない」と返事をすることサービスの向上について関連付けて考える彼女の思考にびっくりしてしまったのだが、彼女は冗談でなく至極まじめにこの話をしていた。
こういう所に異文化交流の醍醐味があるんだろう。

「お痒いところがありますか?」は暗にシャンプー終了のお知らせだし、「ないです」というのは暗に「大丈夫です。ありがとうございます」という風に自然に解釈している人が大多数だと思うのだが、それを説明しようとしてもなかなかうまくいかない。

私の韓国語が拙いせいもあるが、「終わりますけれど、何か問題がありますか?」と直接聞いた方が誤解がないという回答が返ってくるだけだと思い、
このようなサイトを探して、彼女に送ってみたのだが、どうも私の意図するようには話は伝わらなかったようである。
押しが足りなかったらしい・・・・

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仕事の際、会社から支給されたノートパソコンやタブレットを使うのが一般的だと思う。私の勤務先もそうなのだが、ある同僚のノートパソコンのアダプターが見当たらないことがあったらしい。
勤務形態が不規則な同僚は、自分の不在中に使って返すのを忘れただけだろう・・・と大事にしたくなかったらしいのだが、それでもないと仕事にならない。結局周りの人みんなで探すことになりそれなりに大騒ぎになってしまった。
結局同僚の中国人女性が、自分のノートパソコンのアダプターが見当たらないので、彼のアダプターを無断拝借したことが分かった。
「黙って持っていくのは良くない。本人に了解を求めるなり、隣席の人に伝言するなり、メモを残すなり方法はいくらでもあったはず。何故黙って勝手に持って行ったのか?」と注意された彼女は「●●さん しばらく出勤しないと思ったので、借りてもいいと思いました。」と言っていたらしい。
(しばらく出勤しないというのは、彼女の独自の判断らしい。その独自の判断が外れたので、思いのほか大騒ぎになったのだ・・・)
「居ない間に使っても特に問題ないだろう。ずっと使うわけじゃないし、使い終わったらそっと返しておけばいい」ということらしい。

更に彼女はやっぱり自分のノートパソコンのアダプターが見つからないらしく、非常に困っているようだった。
その後も、まわりに使っていないアダプターがあったりするとも、黙って借りようとしたりして、同僚の無言の攻防が繰り広げられたりしたらしい。
*****
勤務先は、帰宅時に机上を空にするシステムではないので、どうしても電卓やパソコンを置いて帰ることになる。
中国勤務が長かった先輩同僚は「同じことを3回やったらペナルティだ。」とすれば、そんなことはなくなる。とアドバイスしてくれたようだが、「この間の件は、そんな注意を受けるまえのことだったから、ノーカウントだ。とか、昨日の事は、緊急事態だったら、ノーカウントだとか、きっといろいろびっくりするような言い訳が出てくるだろう・・・」と私たちはあまり効果があるとは思っていない。

押しが弱いながらもクールに対応しようとしているのだが、まだまだ押しが足りないようで、なかなか厳しい毎日だ。
押しが弱くても国際社会で生き抜いていけるんだろうか・・・・まだまだ修行の日々が続く・・・・




日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?(祥伝社新書277)
クリエーター情報なし
祥伝社

モノは好き、でも身軽に生きたい。

2015-12-27 19:35:10 | たまに読んだ本
本屋に立ち寄ると必ず購入してしまう片づけ本と海外ミステリー・・・・

身軽に生きたいなら、片づけ本は購入しなければいいし、ミステリーは図書館で借りればいいのだが、一人暮らしゆえ、片づけ方をチェックしてくれる人はいないので、新しい本を読むことは自分の片づけ方をチェックする非常に効果的な方法だ。
「これは私もやっている方法だ!」と共感を覚えて自分を励まし、新しい方法があれば、さっそく取り入れてみようと思う。
片づけに終わりはないので、常に自分を励ます方法が必要だ。。。。。

この本は身軽に生きるおしゃれさんの鞄の中を紹介もしているのだが、腰痛軽減のため、鞄を軽くする必要がある私にとっては、これは鞄の中を見直すいい指針になる。ただ、私の場合、おしゃれさんとは無縁ではあるが・・・・

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海外ミステリー本も借りるとなると財布が痛まない故、どうしても選択眼が鈍る。結局面白くなくて読まずに返してしまうこともある。
これが買うとなるとやっぱり真剣になる。もちろん「私のタイプではなかった・・・」とがっかりすることもあるが、常にホームランは望めないので、ちょっとでも打率を高くしたいと、本の帯を読むにも真剣になる。

この片づけ本も購入したので、購入した分位は参考にしたいと思う。
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この本の著者はモノを購入するのに、熟考することを薦めているようだが、私は全く逆だ。モノを購入するのに熟考するタイプではないので、失敗することも多いが、失敗すると自分の好みやこだわりがさらにはっきりわかるようになる。

まぁ、自分のこだわりのモノにたどり着くには人それぞれ。参考になるところは取り入れ、それ以外は「おしゃれだな~」と感心して通り過ぎ・・・・

おしゃれなお片づけ本はそんな風にして、読み比べたい。





モノは好き、でも身軽に生きたい。
クリエーター情報なし
大和書房

特捜部Q―吊された少女―

2015-12-24 21:26:04 | たまに読んだ本
過去の未解決事件が担当のはずなのに、一本の電話をきっかけに、引退間際の警察官から事件を引き継ぐことになる特捜部Q・・・・

今回は、いつにもまして過去の事件の背景が詳細に語られる。これはシリーズ物ということもあり、特捜部メンバーの諸事情を語る場面の比率が少し減っていることに比例したものか。

過去の事件はスピリチュアルなものにやや関係しているもの。
捜査をしながらも、そのスピリチュアルな物に翻弄される特捜部メンバーの心の動き。

シリアからやってきたアサドの抱える問題。そして今回の事件の裏にある様々な愛憎関係。

事件だけでなく、その背景にも各種のミステリーあり。。。。。。



特捜部Q―吊された少女― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
クリエーター情報なし
早川書房

その女アレックス

2015-12-03 21:23:42 | たまに読んだ本
先日、このシリーズの1作目である悲しみのイレーヌを読み、続いてシリーズ2作目であるこの本を読む。

順番が逆で発刊されたので、2作目から読んだ人が多数いると思われるのだが、もしまだの人が居たらぜひ、順番に読むことをお奨めしたい。

ある女が誘拐される。
誘拐現場を目撃した者はいるのだが、誰が誘拐されたかが分からない。
誰からも探されないその女は誰なのか・・・・・・

******
読んだ際のショックが大きいミステリーはいつも理不尽だ。
被害者の立場になって「なぜこの人がこんなトラブルに巻き込まれるのか」と思い、またある時は「何故普通に生きていたこの人が加害者にならなければならなかったのか・・・・」とその理不尽さに悲しみを覚えることもある。
更に事件を追う刑事が、事件にのめりこむあまり、打ちひしがれ、疲弊する姿に、世の中の理不尽さを見る時もある。

理不尽な出来事にショックを覚え、そしてその理不尽な出来事にどうにかして答えを見つけようとする登場人物の行動に一喜一憂する。
理不尽な出来事に答えが見つけられなくても、生きていかなければならない辛さにまた思いを寄せたりする。

この本はそんな理不尽な思いが非常に詰まった本だ。


いろいろ書きたい思いがある本だが、ネタバレになりそうなので、こんな風になんだか分からない感想になってしまう。






その女アレックス (文春文庫)
クリエーター情報なし
文藝春秋

悲しみのイレーヌ

2015-11-21 21:31:33 | たまに読んだ本
去年話題になった『その女アレックス』の作者ピエール・ルメートルのデビュー作。

書店で手に取るタイミングを逸し、『その女アレックス』は未読だったのだが、その前の作品がこの本だということで手に取る。
事件の残虐さが雪だるま式に度を増していく様、私生活ではこれ以上ない幸せを感じているはずの刑事が幸せ故にそれが消えてしまう不安を感じる様・・・・・そして犯人の粘着気質。

次々と起こる事件は非常に理不尽さを感じるもの。
刑事たちは事件を解決するだけでなく、その理不尽さを乗り越えようとする。
事件が暗い展開になればなるほど、その葛藤は大きくなる。
暗い展開だがページをめくる手を止めることは出来ないのは、その理不尽さは乗り越えようとする姿の中に切なくそして強いものを感じるからだと思う。

物語の終わりは非常に切ない。


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シリーズ物で2作目が先に大ヒットという珍しい展開。
「悲しみのイレーヌ」という邦題は『その女アレックス』を意識して、再び女性の名前を入れたものなのかも知れないが、印象的ではあっても、推理小説としてはどうなのかなと思う。どうして「どうなのかな?」と思ったのか、それを書くのもネタバレになるので書けないのが辛いが・・・




悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)
クリエーター情報なし
文藝春秋

夏の陽射しのなかで

2015-11-19 21:25:35 | たまに読んだ本
スウェーデンの離島を舞台にしたミステリー。前作静かな水のなかで同様、ミステリーとともに登場人物の日常が語られる。
女性主人公の名前はノラ。医師の夫が事ある毎に見せる「俺って素敵な夫だよね。」という態度に傷つき、彼女が自分の人生を振り返る姿にも結構なページが割かれている。
現代の人形の家がスウェーデンの離島に舞台を移しているとも言えるのだが、その彼女が自分らしい人生を生きたいと望む姿は、私からするとあまりにも厳しすぎるのではと思ってしまう。
確かに夫の態度は目に余るものがあるが、それでも彼女自身は十分に自分らしい人生を送っている。それでも「まだまだ自分らしくありたい。夫婦はどこまでも平等。」と強く望むその姿に、日本とスウェーデンの違いを感じたりする。

ミステリーは、自分らしくありたいと悩むノラと違って、パートナーをサポートすることで自己実現をしようとする女性たちが形を変えていろいろ描かれる。
愛の形は人それぞれというのが、ミステリー部分の大きなポイントだ。

謎解きの部分にいろいろ仕掛けがあり、前作の「静かな水のなかで」よりも読み応えあり。


夏の陽射しのなかで 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
ヴィヴェカ・ステン
早川書房

静かな水のなかで

2015-10-06 21:53:40 | たまに読んだ本
北欧ミステリーがブームだが、これはスウェーデンを舞台にしたミステリー。

私が今まで読んできた北欧ミステリーは、ノワール系が多かったのだが、これはスウェーデンの風が感じられる語り口で、ミステリーではあるが、穏やかな感じだ。さらには、主人公のライフスタイルにかなり多くのページが割かれていて、ミステリーとしてはちょっと物足りない分をそこでカバーしている感じだ。

秋の夜長に読むにはちょうどいいかもしれない。

ただ、濃厚な感じが好きな私としては、ちょっと軽めな感じでややパンチ不足な感じ。


静かな水のなかで 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
クリエーター情報なし
早川書房

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる    日本人への警告

2015-09-24 21:32:47 | たまに読んだ本
『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』という一冊の本があるのではなく、エマニュアエル・ドットの何本かのインタビューをまとめた本。

タイトルに日本人への警告と書いてあるが、この本が直接日本について大々的に言及しているというより、(もちろん中には、やや唐突に日本を引き合いに出している箇所もあるが、これはインタビューをまとめた本だからだろう。話というのはきっかけさえあれば、ありとあらゆる所に転がる要素があるものだから・・・・)ヨーロッパにおけるドイツの立ち位置、さらにはアメリカVSドイツのあり方を検証しつつ、その考え方を日本VS●●であったり、アジアにおける日本の立ち位置に置き換えてみた時どうかということらしい。


ちょっとロシアに対して過大評価なんじゃないだろうか?と思うが、(そう思うのは何も知らない素人判断なんだろうか。。。)それ以外に関しては、私にとっては新鮮だった。
冷戦後は「ハリウッドのスパイ映画やアクション映画のストーリーが変わってきたんだよな~」ということ位しか考えたことがない。冷戦後の世界情勢についてなんて考えたこともないのだ。
何を読んでも新鮮に感じられて当然ともいえる。




「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋