私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

それでもボクはやってない

2007-02-03 19:22:46 | 映画鑑賞
「ボクやってないんです」誰も彼の言葉など本気で聞いてくれないのだ。
就職面接へ向かう満員電車の中で女子中学生に痴漢と間違えられ、現行犯逮捕される主人公徹平(加瀬亮)

現行犯逮捕され、自白しなかったから拘留され、被害者の主張と相容れるところが一つもないからと起訴され、そうなったら99.9%は有罪という裁判に向かっていくのだ。何故ってやっていないのだから。

無実だから無罪というのは常識だと思っていた。
映画開始早々にそれは常識ではないということに、気づきあっけに取られる主人公。勿論観ている方もあっけに取られる。
法廷場面が殆どなのに、普通の生活をしていた主人公の生活や友人の気持ちがどんどん伝わってくるのが凄い。観ている観客は100%主人公徹平の無実を信じる。だってやっていないのだから。でもやっていないということを証明するのは自分なのだ。やったことを証明するより100倍も難しい作業を誰も手伝ってはくれない。

前半部分の裁判官を正名僕蔵、後半を小日向文世が演じるが、この二人が凄い。
小日向文世演じる裁判官が、定員より沢山いる傍聴者に向かって「ここは僕の法廷ですから・・・」という場面あり。
裁判は原告と被告のものだと思っていたのだが、法廷は裁判官の職場であり、事務的に裁判を進める場なのだと実感させられる場面だった。

「被害者は勇気を持って裁判に臨んでくれました。その姿勢は大変真摯なものであり・・・・」最後にやりきれない気持ちでこの言葉を聴くが、虚しい思いを感じさせる娯楽作があるとは思わなかった。


それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!

幻冬舎

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