私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

長い腕

2011-04-19 21:41:42 | たまに読んだ本
「今の仕事は嫌いじゃないけれど、一か所にとどまり続けたくない」と勤務先のゲーム会社を辞めることにした女性。
あと少しで有給休暇の消化に入るというところで、勤務先で起こるある事故。
自分の田舎で起きた事故と関連するキーワードを見つけた彼女は、有給休暇の消化もあるし、次のステップに進むまで時間があるからとその謎に対する答えを自分なりに見つけようとするのだ。

勤務先の事故と自分の実家のそばで起こった事故。
その事故同士を関連づけるキーワードがやや唐突なように思えるが、舞台となるゲーム会社の仕組み(というか流れ)が非常にわかりやすく、ゲームの素人にも非常に読みやすく想像しやすいので、あっという間に謎解きに物語が進んでいくのにも違和感がない。

彼女自身も謎解きに関して素人のはずなのに、ある時は大胆に、ある時は自分の知識を駆使し、さらにある時はプロに教えを乞い、非常に問題解決能力の高さを見せつけるのだ。
ゲーム会社を舞台にした前半に比べ、場所を実家に移したあたりからは、時計の針を巻き戻して話が進んでいくのだが、必要以上に重苦しくないのは、この彼女の問題解決能力の高さによるところが大きいと思う。

刑事でない一人のごく普通な女性が事件に対峙する話なのだが、物語を全部読んだ後に心に残る人物は、事件の原因に直接関係する人物でないのが、この小説の非常に不思議なところだ。
なぜ、あなたがそこまで・・・・・
その謎に対する答えが明確でなく、自分でその謎を消化しなければならないのが、この本の一番不思議なところだと思う。



長い腕 (角川文庫)
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角川書店