南軍として従軍し、戦争が終わった後も妻の元に帰らず、各地を転々としながら新聞の読み聞かせで生計を立てるキッド大尉。次の読み聞かせの地に向かう途中、親兄弟をネイティブアメリカンに殺され、彼らに育てられた少女と出会う。誘拐されネイティブアメリカンとし育てられた彼女だが、その彼らも殺され、一人残され行く場所もない彼女。そんな彼女をなぜか見捨てることが出来ず、叔母夫婦の元に送り届けることを選ぶキッド。
ドイツ系移民の叔母夫婦が住む街までの道は険しい。日照り、砂嵐等の自然環境だけでなく、盗賊、そしてわずか10歳程の少女を売り飛ばそうと彼らを付け狙う男たちさえもいるのだ。
次々と身近な人々を殺され、ひとりになった彼女は言葉の問題もあり、簡単にキッドに心を開こうとはしない。しかし日々一緒に過ごす内に、少しずつ英単語を覚える彼女。そしてキッドも彼女の話すネイティブアメリカンの言葉を覚えるようになる。
「無理に昔の事を思い出さずともいい。辛いだけだ。忘れて前に進めばいい。」と言うキッドの言葉に「間違い」と反論する彼女。昔を振り返らずには前には進めないという彼女の言葉に、10歳にして一人で生きる意味を知っているかのような彼女の言葉に思わずハッとする。そして空と大地を自ら抱きかかえ、自然と共存しようとするようなしぐさを見せる彼女と、とにかく前を見てまっすぐに進むんだというキッド。
言葉の違い、考え方の違い、そして育った環境の違い。違いを感じさせながらも、少しずつ近づいていく二人。
しかし旅は厳しい。行く先々で、自らの身を守るために使わねばならない銃。なぜアメリカが銃社会と呼ばれるのか・・・その意味するところが少しだけ分かったような気がする。
Netflixで視聴。
オリジナルタイトルは[News of the World]
邦題を「この茫漠たる荒野で」とつけた意味も分からないではないが、本当ならオリジナルタイトルの方が意味深いと思う。
トム・ハンクス主演『この茫漠たる荒野で』予告編 - Netflix