開戦前夜の1940年の神戸を舞台に映画は始まるのだが、なんだかビジュアル的には、私が思う大正ロマンの雰囲気が漂う。(あくまで私の思うところである)ゆっくりとした二人の口調で続く夫婦の会話、二人の立ち居振る舞い、白いスーツ姿の夫と、主婦でありながら趣味の良いスーツを着こなす妻。どこか浮世離れした雰囲気を感じてしまう・・・
夫が貿易会社を営むせいか二人に金銭的困窮は見えず。満洲に渡航した夫の秘密を知りそれに同調しようと決心してからの妻は、精神的に満たされ逆に心の中の自由度は増したかのようだ。
スパイの妻というタイトルではあるが、スパイよりも妻であることが重要な映画だ。スパイという要素が夫婦の間に入り込んだことによって、妻は夫から与えられる幸せだけでなく、自ら夫婦の幸せを追求する妻になっていく。
私は、スパイという視点よりも夫婦の秘密共有という点から見た方が面白く見られるのではないかと思う。
蒼井優×高橋一生×東出昌大×黒沢清監督『スパイの妻』90秒予告
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます