「反ルッキズム」の流れは本当に広がっている? 7割が「見た目による差別はなくなっていない」
ある日曜の午前中、割と空いている電車に乗り込もうとすると、ドアのそばに仁王立ちし、乗ってくる人々をじっくりと吟味している女性がいた。
その女性は、電車に乗り込もうとする私を見るや否や「チビ、デブ、ブス 真っ黒黒の出っ歯眼鏡!」と空いている車両に響き渡るような声で私の見た目そのままを、大きな声で値踏みした。
車内の人達は、その審判を聞いて凍り付いているのが分かったが、言われた私は正直ちょっと感心してしまった。
「1秒にも満たない短い時間で、私の見た目の特徴をリズムよく言い切った」と思った。とにかくその瞬発力に驚いたのだ
150センチにも足りない身長、小柄ではあるが痩せっぽちとは言えない体型、残念な事にかなり上を向いている鼻の穴、髪の毛も黒く、洋服もカバンも靴も全て黒。さらにダメ出しの黒縁の眼鏡。そして子どもの頃は「スイカを食べるのに便利な歯並びだな」と思った口元。
どの特徴も子どもの頃から聞きなれたものだった。見た目そのままを大きな声で言われただけなので、反論のしようもない。ただ、言われた私よりも、偶然居合わせた周りの人の方がいたたまれない一瞬だったと思う。「私が偶然電車に乗り込んだ為にこんな空気を作ってしまいました・・・ごめんなさい」と謝りたい気持ちになるが、それもおかしな話だ。
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ただ、一瞬すれ違っただけの私になぜそんな審判が下されたのかは分からない。もしかしたらよっぽどイライラすることがあったのかもしれない。
電車は残念な事に各駅停車で、その後もドアのそばに立っていた女性は次々と乗り込んでくる人を凝視していたが、私に下した審判のような一言はそれ以降発せられる事はなかった。
なんで私にだけと思ったが、多分私の見た目がその人の何かに触れたのだろう。私の問題でなくその人の問題なのだ。
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人は感情の生き物だ。思わぬ形で自分の好みを口にしてしまうこともあるだろう。でも限りなくそれを理性と想像力でコントロールして欲しいと思う。
持って生まれた物が平等でないことは勿論キチンを受け止めなければならないとは思うが、公平を求める精神も忘れたくはない。
かなり特異なケースかもしれないが「チビ、デブ、ブス 真っ黒黒の出っ歯眼鏡!」を聞きながら、私が考えた事だ。
追記
この話はコロナ禍前の話だ。マスクをしていたなら、出っ歯と認定される事も無かっただろうに…