私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

映画の検閲

2021-09-26 20:04:58 | 香港(香港映画&中華明星)

2020年に香港で公開された香港映画は34本しかなく、コロナ禍の影響もあり香港の映画業界は非常に厳しい状況らしい。

そこに香港国家安全維持法(国安法)による検閲強化があり、撮りたい物が撮れない状況になっていると聞いた。

香港映画好きとしては、非常に悲しい出来事だ。

そんな中、友人から「香港でも『シャン・チー/テン・リングスの伝説』が上映されてヒットしているらしいよ」という話を聞く。マーベルの映画で、主人公がアジア系で、主人公の父親役でトニー・レオンが出演し、ミシェル・ヨーも出演しているのだ。香港人たちが還暦を迎えたトニー・レオンのワイヤーアクションを喜んでいる様子が目に浮かぶ。

実は、香港でも映画の検閲が厳しくなっているという話を聞き、香港でこの映画が公開されないのでは?と思っていたのだ。

取り敢えず、香港では公開されてよかったと思う。。。

香港では・・・というのは、中国本土では検閲局の許可が下りずに上映の目途が立っていないようだからだ。

『シャン・チー』は、MCUにとって初めてのアジア系のヒーローのストーリーだ。中国側の怒りを買わないように、ストーリー展開についても細心の注意を払っていたと思う。

私も映画を見ながらそんな配慮を痛い程感じたので、映画を見た際の感想に、

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『テン・リングスを手に入れ、権力と富を欲しいままに手に入れたトニー・レオン演じるシャン・チーの父ウェンウーのパートは、基本的に中国武術を駆使し、更には大きな龍も登場して封印された悪魔と戦うというファンタジー感溢れる中国神話的な展開・・・・

今の中国の状況を考えると、他の選択肢はなかったと思う。悪の世界に溺れた彼を描くのに、今の香港や今の中国に繋がる(それがたとえ連想させることだけでも)エピソードを入れることは、今後のシリーズ展開を考えると非常に無理のある事。そんなリスクを冒す位なら、思い切って遠い昔に思いをはせるエピソードに振り切った方がいいに決まっている。そんな遠い昔から現在に至るまで、悪と妻への愛に揺れる年齢不詳の男性という不思議で癖のある役柄を、声のトーンを抑え気味にし、かすれた感じの声で演じているトニー・レオン。』

と書いたのだが・・・・・

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結局、中国本土では検閲局の許可が下りず公開の目途は立っていないらしい。

ディズニーの実写版ムーランよりも、ストーリー展開的にもずっと中国の文化に配慮しているように感じたし、英語を話しているムーランとは違い、皆キチンと北京語を話しているではないか。

2000年代に入ってからリチャード・ギアが大きなバジェットの映画に出ず、インディペンデント映画に出演するようになったのは、彼がチベット仏教を信仰し、中国のチベット抑圧に対して発言した事がきっかけだったという。あの当時はハリウッド映画に次々と中国の資本が入り始めた頃だった。私にとってチャイナマネーの恐ろしさを感じた一番最初の出来事だったのだが・・・

今は、ハリウッドがこんなに配慮しても、そっぽを向かれる時代になってしまったのだ。。。

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これについて書いた記事も色々アップされている。

中国系スーパーヒーローが活躍するマーベル新作映画が中国当局の気に障った理由

マーベル『シャン・チー』中国での上映決まらずも「侮辱するようには見えなかった」と中国人鑑賞者の声

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中国での検閲は、映画だけでなく出演陣にも及んでいると思っている。

昨年実写版ムーランの主演女優であるリウ・イーフェイが「香港警察支持」というコメントを出したのは、アメリカ国籍を持ちながらも中国本土を活躍の場にしている自分の微妙な立場を考えての事だったと思うのだが、そんな彼女は今、ヴィッキー・チャオの次に捜査されるであろう芸能人リストの中に名前が入っているのだという・・・・

 



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