アムステルダムの博物館に保管されている「アンネの日記」から突然姿を現す少女キティー。
ユダヤ人への迫害から逃れる為にオランダに亡命するも、オランダがドイツ軍に占領されたことでアムステルダムで家族とともに隠れ家生活を送る事になるアンネ。父親から13歳の誕生日に貰った日記帳をキティーと名付け、空想の友達キティーに自分の隠れ家での生活の様子や思いを語りづづけた彼女。
アンネの親友であり、アンネを一番そばで見守り続けたキティーは、アンネ・フランクという名前が各所に残されているのに彼女がいないアムステルダムの街を、彼女を見つけるために駆け抜けるのだ。
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居場所と自由な生活を奪われ、隠れ家に身をひそめるしかなかったアンネと、キティーがアンネを探すのを助ける難民少年のアムステルダムでの生活がリンクする。街中を歩くドイツ兵を避けるように歩くアンネ達家族と、たどり着いたアムステルダムでスリを生業にして暮らしている少年・・・
映画が最後に示す難民問題の解決は現実的にはあり得ないものかもしれないが、未来を見失わずに人を信じて生きていかなければならないと思ったアンネの思いが詰まった映画としては、一つの希望を示したものなのだろう。
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2022年、出版から75周年を迎えた「アンネの日記」。2022年の3月、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが報道され「自分の国と家族を守るために戦う」というウクライナの人々の言葉を毎日のように耳にする今。切ない思いを感じつつ映画を見る。