羆覆輪が深覆輪に変化した大冠はあれから半年。
この株はそれなりに泥根が出て元気そう。
こちらは親木が派手気味なのか仔は更に派手。
ルビー根が多く出ます。
羆覆輪とごく近い親戚ということで新月殿のような伸びないルビー根です。
ところでこの品種から羆が出た~という噂をたま~~に耳にします。
それではぜひうちの棚にもと願っていたところ
こんな仔が出てきました。
今のところこれではまだ無理そうですが
何度もトライしているうちに柄が反転しバッチリ真鶴芸の仔が出てくれるかもしれませんね。
あれから1年と8ヵ月。
株分けしてから2作もするとどの株だったか分からなくなりましたので
画像はありのままに…。
こんな柄ですから本芸の仔は2本に1本出れば良いほうです。
この仔も紺中通しがあって本芸で育ちそう。
ルビー根ばかりじゃなく時々泥根も出ますから
それほど弱い木じゃないのですが
派手な仔は先々もこんな感じでダメなようです。
そういえば2年前、派手な仔を外して育てていますが
まだ枯れないものの生育は遅々としています。
しかし派手な仔でもすぐには枯れないくらいですから
紺中通しがあって泥根の出る木は見た目よりも丈夫なのでしょう。
こちらはちょっとバランスの良い株立ち。
派手な仔も付いていますがしばらくこのまま育ててみましょう。
素立ちにも仔が付きましたが若木の間はこんな感じで推移します。
ところで、これが最終芸であればそんなに鉢数を持つ必要はないのですが
紺地が転覆して仔が中透けで出ている株を見たことがあり
行った先でそうなったら悔しいなと手放せずにいます。
それに日作りすると柄が真っ黄々に変身し、それはそれは見事なものでした。
来年は久々にそんな表情も見たいかなと思っています。
あれから1年7ヶ月。
改めて品種の紹介をさせていただくと
羆覆輪が富貴殿のような大覆輪に変化したものです。
年に2枚程の葉繰りはあるようですが
ほとんど変わり映えしないのは増えている印象が無いためなのでしょう。
なんて毎度同じようなことを書いている気がします。
こんな柄ですから花芽は付き難く
その分、仔出しは良好なのですが派手柄になるのが多く
紺地のある仔は5本に1本も出ないかもしれません。
しかし派手柄でもいわば新月殿。
親木に付けている限りいつまでも生きています。
こっちの株も似たようなものですが
紺地のある仔が2本付いてちょっと良い感じです。
ただ、昨年の仔は派手模様。
写真を撮っていてこのままではなんか面白くないと思い立ち
植え替えを兼ねて株分けすることに・・・。
ということで植え替えと株分けをしてみました。
改めて親木はまずまずの覆輪。
仔はこっちは紺中通しはありますが
こちらは派手。
それでも外せない思い切りの悪さが玉に瑕かも。
こちらも親木はまずまず。
この仔も良い感じなのですが
こっちの派手仔はやはり毟りきれません。
そして外した仔はというと
これは何やら勢いがあって物になりそうです。
しかしこんな柄の木はすぐには枯れなくても
じわじわと弱り数年後にはたぶん逝ってしまうかも。
そんな感じでほとんど増えませんから出回ることもなく
それで人気とは無縁の品種なのでしょう。
建国殿系マニアにとっては本当は必須のアイテムなのですが。
あれから2年と5ヶ月。
ほぼ3作ではありますが同じような雰囲気です。
しかしほとんど見込みのなさそうだった派手な仔には紺中通しが現れ
もうしばらく我慢すれば外せるかなという希望も出てきました。
いつもだとルビー根は短いまま止まってしまっていたのですが
今年は長~く伸びていましたので木にも力が付いてきたようです。
こちらの株は下葉が片側だけ落ちてあららといった感じですが
運は良かったと見えて大きな仔は2本とも紺地十分です。
葉が落ちた跡からも速攻仔が出てくれましたし。
どちらの株も仔を外せば親木の負担が減るだろうとは思います。
羆覆輪が深覆輪になった変化種ですから派手仔でも新月殿。
まして少しでも紺中通しがあれば生き残りそうな気はするのですが
それは何度かの失敗経験がだめと言っています。
弱そうで強い品種なのか強そうで弱い品種なのか
まだ距離感がつかめない品種ではあります。
あれから1作。
この柄にして葉繰りは2枚。
さすが羆覆輪系ということで木勢は良好です。
ルビー根も出ますが元気な泥根が木勢を支えているといったところでしょうか。
願わくば仔にもう少し紺地がほしいところです。
これじゃ、いつまで経っても株分けできませんので~
羆覆輪が深覆輪に変化したものです。
あれから2作。
株分けした片割れに仔2本+小仔1本育っています。
柄がこんなですから花芽が付きにくく仔出しはそこそこ良好。
でも歩留まりが~~。
まあ、一本は紺が乗っていますから親木と同じ程度の柄行きにはなりそうですが
派手でも新月殿ですからいつ外すべきかが悩みどころです。
外さなければいつまでも枯れずに生き残っていますから。
親木も見た目派手っぽくて怖そうな柄ですが
これが意外に丈夫で下葉も落ちずによく育ってくれています。
季節によって柄が冴えたり沈んだりと味わい深く
羆一族の一員としても貴重な品種だと思っています。
よく羆覆輪の柄が深めに入ったものと勘違いされる向きもありますが
こちらは紺地がベタに出ず、富貴殿のように葉の表裏に糊を引きますから
実物を見れば一目瞭然です。
友人から羆が出てビックリなんていう
大冠から羆が出ている写真付き年賀状をいただいて
私もビックリしていますが
そんな変化に立ち会う機会を得るべく作に精進していきたいと思っています。
大冠は二年振りの植え替え。
この品種は羆覆輪から変わったものですから
ユウレイ仔になると新月殿と同じで何れは倒れてしまいます。
紺中通しが命ですね。
ルビー根も交えますが紺中通しの部分から出る泥根が
木を元気にしてくれます。
昨年の仔も紺中通しがあって大丈夫そうです。
羆覆輪が富貴殿のような深覆輪に変化したものが大冠です。
三年前の福岡の大会で展示をしましたが
その後直ぐに親木の天葉が芯止まり。
秋田から九州まで持ち歩くと調子を崩すことがあるものですね。
健全な頃の姿が懐かしくも恨めしい・・・。
仔が出ても派手な柄が多くウチの棚ではなかなか育ちませんです。
(この一鉢も大冠から出たハデ仔ですが結局枯れました。)
東京ドームや大会での展示は見るほうは気楽なものですが
出品される側はそれなりにリスクを背負っているものと
頭が下がる思いです。
話は変わりますが蘭の葉は三層構造になっていて
覆輪や中透けなどは周縁キメラ斑と言うのだそうです。
それぞれの層で斑が入る、入らない2通りだとすれば
2×2×2=8で8通りのパターンが考えられ
種類でいえば覆輪、大覆輪、中斑、中透け、三光中斑、逆三光中斑?
ユウレイ、青ということになります。
羆、建国殿で面白いのは
この一族で周縁キメラ斑すべてのパターンを
網羅していることです。
品種で言うと覆輪は羆覆輪、大覆輪は今回の大冠、
中斑は長寿楽、中透けは羆、三光中斑は八千代、
逆三光中斑で固定した木はありませんが
派手な羆覆輪の一部の葉に見受けられます。
また、ユウレイは新月殿、青は建国殿などの柄抜けです。
これだけでもすごいのに、それにプラスして
一枚の葉に暗む黄縞、暗まない黄縞、暗む白縞を混在させています。
各層に柄が有るか無いかだけでも8種類なのに
斑の色も何種類かあるとなると複雑さは加速度的ですね。
またそれに区分キメラ斑という縞が加わりますし
一部の柄だけ目立つ木が多いので違う雰囲気に見え
なかなか整理が出来ていない感じもします。
実際、大冠と白深覆輪では同じパターンの柄でも
がらりと雰囲気が変わります。
(昔、見たことがある白柄の羆というのをもう一度見てみたいものです)
まだわからないことはたくさんありますが
墨を流すことと泥が軸元に濃く集まって
付けから先へは散らないという特徴もあって
品種自体の見分けは意外に簡単です。
知れば知るほどすごすぎる一族ではあります。