今日は昼前頃から三重県立美術館で開催されている『大橋歩展』を見に行きました。
大橋歩はイラストレーターとして有名ですが、実は三重県安濃郡(現津市)出身。その後中学生の頃に四日市に移り、高校卒業後に上京。『メンズクラブ』の連載イラストを受注後、『平凡パンチ』の専属イラストレーターとして表紙イラストを手がけました。さらにその後はアパレルブランド『ピンクハウス』の仕事を依頼されたり、多岐にわたって活躍するようになります。
そこそこの年齢の女性ならば彼女のことは結構知っているでしょうし、知らなくても同氏のイラストを見たことがあるはず。
今回の展覧会は氏のデビュー前の頃のゼミの採点イラストから始まり、『メンズクラブ』『平凡パンチ』のイラスト、さらにはユーミンのCDイラストや立体アートまで様々な作品が展示されています。
ワタシ的に面白く感じたのは、やはり『メンズクラブ』『平凡パンチ』のイラスト。
『メンズクラブ』のイラストは、わりと粗いタッチながら、さすがに服飾雑誌向けだけあって、当時流行した「IVY(アイビー)」のディテールが細かく描かれている。ダブルカフスの袖だったり、センターフックベントの背中だったり、モーニングのベストは一番下のボタンを外していたりと、マニアがこだわるところはキッチリ描写しているのがたまりません。
『平凡パンチ」の表紙イラストは、1967年までとそれ以降で作風がかなり変わっているのですが、特に後半での女性の描き方が大きく変わっています。目が特徴的で、70年代を彷彿させます。
面白かったのは原画イラストをベースに最終の表紙ではかなりレイアウトを変えたり色彩を変更していることです。原画とかなりかけ離れているものも多く、大橋さん的にはどういう気持ちだったのだろう?と思いました。
その後のイラストでも、かなり有名なものがあり、個人的に懐かしく思うものもありました。『ピンクハウス』の作品群は80-90年代の女性をパターン的に描いていますが、いずれも超ワイドショルダーで、当時の女性の社会進出状況というか、イケイケなところが絵に表現されている気がしました。
2002年以降、雑誌『Arne(アルネ)』では企画・取材・編集までを行なっているそうで、大橋ワールドが表現されてるようでした。
そんな感じで、なかなかワタシ的には来て良かったと思いました。普段図録は買わない主義なのですが、今回は買ってしまいました。
『大橋歩 わたしの時代 1962-2009』(2,000円)。A4版で176ページ。『平凡パンチ』で手がけた表紙の全390店を並べたポスター付き。
大橋歩さんのブログに展覧会の進行状況がレポートされています。 イオグラフィック:日々のこと