土日の井上は小学生バレーボールチームの監督としてバレーボール練習。早いもので17年目の指導に入ります。ずいぶん長く指導してきたものです。
この小学生バレーボール指導が私の教師としての技能をみがいてくれました。
教師という仕事は一面甘ったれの仕事だと自分に言い聞かせてきました。授業力、指導力が伴わなくても、いったん「教師」という立場に立ってしまえば、どんな子からも親からも「先生」と言われる。どれだけクラスがうまくいかなくても、子どもたちはそのクラスで我慢するしかない。そう考えると、教師という仕事は油断をすると「与えられた受け身の仕事」におちいり、しかもそのことに気づくことのできないという怖い仕事です。
バレーボールの監督は違います。
自分の指導力、組織運営力・・・要するに、自分の実力でチームを維持していかなくてはならない。子どもたちは気に入らなければいつでもチームをやめられるし、評判が悪ければ子どもたちが入ってこない。指導者としては常に向上していなければならない緊張感があります。しかも一銭のお金にもならないどころか、自分の財産を食いつぶしていく場合の方が多い。つまりバレーボール指導者をしていることじたい、時間と労力と財産の投資をしていることになります。これはビジネスの成功本にたくさん書いている「自己投資」になりますね。
バレーボールに限らず、小学生スポーツを指導している方々はみな、完全なボランティアですから、そうした方々と指導法交流をすることが私の大きな力になりました。
いろんなところで私がいつも言っていることなのですが、教師であっても指導者であっても、指導法を学ばずに子どもを指導している人の罪はとてつもなく大きい。子どもの前に弊害として立ちはだかっている存在である。そういう人は子どもの前から去るべきです。
さて、先週から今週にかけて、辰巳ジャンプの子どもたちはグングン成長してくれました。これは練習中のリズムが良くなってきていることでそう思うのです。サーブは強さを増し、スパイクも向上しつつあります。これまで落としてしまったボールも「おっ!つなげた!」と思える場面が増えました。とはいえ、試合の結果につながるレベルまではまだまだ行っていません。黙々とがんばるしかありません。
昨年来、考えてきた授業実践を始めています。
私の勤務校の教育目標は「考える子」「がんばる子」「じょうぶな子」「思いやりのある子」という4本の柱からできています。これを意識化に深く刻んでいく授業を4週連続授業の形で進めています。
第1回目は「考える子」とは何かを考えた授業です。
ここでブログを読んでくださっている方にお聞きします。
教員の方であれば、
「ご自分の学校の教育目標を言えますか?」
保護者の方であれば、
「これまで所属した学校の教育目標を意識したことがありますか?」
児童・生徒の皆さんであれば、
「自分が通っている学校の教育目標を言えますか?」
学校は、この教育目標を柱に動いているはずなのに、それをそらんじることもできないことが多くないですか?
私はこの実態はいかがなものか、マイナスなのではないかと感じています。
学校教育目標はその学校の大黒柱であり、進むべき指針であり、これを意識しているか否かで、その学校に関わるすべての人たちの成長が決まると言っていいと思っています。
私の勤務校は教育目標が4つもある。正直なところ、なかなか覚えられません。
前任校では校長先生の英断でひとつにまとめたんです。その話し合いにも参加した私は、本当に貴重な経験をさせてもらえました。
「にこにこ元気にやりぬく子」
この短い言葉にすべての思いを込めたのが前任校の教育目標でした。1年間かけて何回も話し合って決めた学校教育目標でしたからその定着度はかなり高かったのです。ある年に、テレビ東京「おはスタ」の取材を受けたのですが、その放送のしめの言葉に「にこにこ元気にやりぬく子」という教育目標が使われました。
動画はこちらです。
昨年、現在の勤務校の教育目標も、「みんなが覚えられるものに変えましょう」と私から提案しましたが、残念ながら実現しませんでした。
今回、新しく学級を担任するにあたって、学校教育目標を考えてもらう授業を4回シリーズで展開することにしました。おそらくこの4回の授業を行うことによって、担任する4年生は学校の中では飛び抜けた優良学級になるはずです。学校の目指す「児童像」を強く意識するわけですから、飛び抜けるのは当然だと思います。
第1回目の話し合いだったので、子どもたちがグループマインドマップに慣れていなく、話題からずれていくこともありました。これは今後、話し合い活動をくり返し体験していくことによって話のが流れにそって意見を言えるように育っていくはずなので、あまり気にしていません。
出てきた意見はこのような内容でした。
(1)いろいろな人から学ぶ。親、先生、社会人、町を歩いている人、その他、どんな人からも学ぶことができる。
(2)考えるということは頭を使うので想像力がつく。
(3)苦手なことをくりかえしやっていくことによって、克服することができる。
(4)いろいろな問題を解くことが考えることにつながる。
(5)質問をすることも考えることになる。賛成意見や反対意見、つけたしの意見をどんどんすると良い。
(6)行動も考えた方が良い。礼儀正しく、あいさつも気持ち良くしているかどうか考える。
(7)調べる活動をすることで考える力がつく。理科で花や生き物を観察したり、社会では調べることで新しいひらめきが生まれるかもしれない。漢字を調べて覚えることで、頭もよくなる。
(8)読むことも大事。本をたくさん読むと歴史上の出来事や人物のことをたくさん知ることができる。音読をくりかえしすることでスラスラ読めるようになる。
(9)勉強することが考えることになるのは当たり前だ。がんばって努力をすれば、必ず頭が良くなる。考える力を強くして頭を良くするためには、予習・復習・自習をしっかりやっていくこと。頭が良くなればほめられて嬉しい。
(10)書くことも大事。文章力も計算力も紙に書いていくことで良くなる。ノートにメモをたくさんして復習することで、勉強が分かるようになる。そうすればテストも100点を取れる。
以上10点が画像のマインドマップから文章化した内容です。
大人から与えた「教育目標」ではなく、子どもたちが考えた「教育目標」にしてあげることで、学校という組織は劇的に良くなるはずです。子どもたちの学校への所属感も深まるでしょうし、自然な形で「愛校心」を育むことにもなるでしょう。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
この「学校教育目標を考える授業」は4回シリーズの報告になりますので、また読んでいただけますようお願い申し上げます。
次回は「がんばる子」の報告になります。