RP誌の京阪特集増刊号をつらつらと眺めておりますと、京阪本社の担当者氏によって執筆された概要・社史的な部分が簡にして要を得た内容で読み応え満点なのですが、とくに印象に残るのは……阪神急行電鉄(いまの阪急)との戦時合併を経て京阪として再発足する際、淀川でエリアを仕切るという方針ゆえ、京阪資本で育てたはずの新京阪電鉄=いまの阪急京都線を切り離したという記述……。約60年の時を隔てて完全に既成事実になったとはいえ、阪急の戦前製車両とは全く異質な高速運転用の名車・デイ100に象徴される新京阪の短命な歴史に対して、今も京阪としては秘かに思い入れを持っているのだろうなぁ……と思った次第です。
というわけで、2ヶ月前に出張撮り鉄した阪急京都線の画像のうち、一番肝心の女王陛下・6300系をまだアップしていなかったのを思い出しました (^^;)。最近は9300系の増備や一般3扉車の特急運用増加、それに嵐山線用4連化により、6300系の特急運用はめっきり減ってしまい、下手をすると京都線全線で1本しか走っていないという事態もあり得るほどに……。以前一度そういう悲惨な目に遭ったときのショックといったら……とてつもなく絶望的な気分になったものです。
しかし、この日は至高の存在・6330Fをはじめ計3本が運用に入っており、天気もよろしく万々歳……\(*^O^*)/ しかも、僅か2時間少々のあいだにこれだけのカットを決めることが出来、夕方から夜にかけての用務=会議が終わった後のビールが美味かったこと……(笑)。マルーン・ボディの煌めきを脳内で思い浮かべるだけで最高の酒の肴になる車両というのは他にそう多くないと思われます。
そして今、RP誌京阪特集の記述を踏まえて6300系の画像をこうして眺めてみますと、6300系はまさにデイ100に象徴される新京阪のスピリットを伝える最後の車両なのだなぁ、ということを改めて強く感じます。6300系の登場当初、153系を使った国鉄の新快速は大して脅威にならず、京阪間の直通需要のかなりの部分を6300系が欲しいままにしていたわけですが、やがてJRWのアーバンネットワーク攻勢により形勢が逆転し、阪急京都線の特急は停車駅を増やすようになったのは周知の通り。それは同時に古き良き新京阪の没落でもあり……6300系の後継車であるはずの9300系は3扉&「巨大オデコな阪急新スタイル (?) 」となったことで、ついに新京阪時代からの「何か」が京都線から消えて名実ともにベッドタウン路線・阪急の一路線となって行くのだろうか……と。ま、こんなことを考えているのは私だけかも知れませんが、これからも6300系の最後の一編成が京都線の定期運用から消えるまで、歴史的ストーリーへの思いをこめて撮り続けることになりそうです。