横川から歩いて碓氷峠の頂上に到達するのは、普通の運動不足な鉄ヲタな方には全くオススメできませんが (笑)、軽井沢側からであれば労さずして鉄道開通前の峠越えの風情を楽しむことが出来ます。そのための足となっているのが、軽井沢交通バスという小さな会社によって運行されているレトロバス (赤バスという通称とのこと) の存在です。軽井沢駅から直接発車しているわけではなく、全国時刻表に掲載されているわけでもないため、趣味的な知名度は非常に低いかも知れませんが、軽井沢駅北東の東急ハーヴェストクラブを起点に、GWから紅葉の季節まで、日中40~50分間隔で毎日運行されています。
ちなみに、あくまで徒歩で碓氷峠を越えた私としましては、このバスは完全にノーマーク (笑)。無人の森を抜けて、突如人の気配がするところに出て来ると、すぐに碓氷峠の頂上=群馬長野県境で、県境の真上に陣取る熊野神社と茶屋を中心に観光客がウロウロする光景にビックリする中 (否、フツーのパンピーの皆様が、登山スタイルの私を眼にして「何だこいつ?」と思ったことでしょう。笑)、路線バスもこんな感じのレトロミニバスであることに、「一気に俗世に出て来たぜ……さすが軽井沢」と腰を抜かしました (^^;)。とはいえ、人が乗る部分は四角い箱に二段窓ということで、なるべく奇をてらわずに純粋なレトロに近づけようとしている雰囲気はキライではありません。というわけで、県境の熊野神社 (鳥居・参道のど真ん中に県境が引かれています) とともにパチリと撮って記念としたのち、しっとり甘い舌触りの峠の力餅を楽しんだのでした。そして、妙義山と浅間山の絶景を展望台から眺めて旧道 (軽井沢側も普通の登山道です) を下り、イキナリ旧軽井沢のスーパー俗世風情に「私は誰、ここはどこ?」気分を感じつつ、延々と時間のかかる峠越えを一気に短縮した信越線の存在は余りにも大きかったことを痛感させられたのでした。