
千曲バスのエルガミオやレインボー (ジェイ・バス製ボディ) が時折走り去るのを眺めながら行く中山道の旅路は、浅間山をほどほどの距離から望む最後の場所である芦田 (立科町役場) 界隈で終わり、緩く長く続く坂を登って笠取峠を越えると、JRバス関東の領域に入ります。
現行のJTB時刻表を見ますと、このエリアのJRバスには「和田峠北線」という名称がついており、上田~大屋~丸子といった上田交通ヲタには嬉しい土地を経て、山間の宿場町である長久保までが基幹路線として設定されています。そして長久保からは、和田宿を経て霧ヶ峰の山裾の男女倉に至るまでの路線と、白樺湖の手前にあたる姫木平に至るまでの路線が、地元・長和町のコミュニティバス (巡回バス) として運行されています。

このうち上田~長久保~和田宿ルートにつきましては、1980年代の時刻表を見れば、和田峠を越えて下諏訪まで運行されていた (上田~下諏訪直通) ことが一目瞭然です。中山道の最高地点である和田峠 (道路で標高約1500m、徒歩で1605m)を挟んで、公共交通が途絶えていることこそ悲しけれ……。もっとも、長和町のコミバス運行は依然としてJRバス関東が受託しており、だからこそ現在でもコミバスが「和田峠北線」を名乗っているという次第です。あるいは、路線の営業権そのものはJRバスが維持したまま、長和町や長野県の補助金とともに事実上コミバス化して、和田峠北線の末端部分の運行を維持しているということなのかも知れません。
というわけで、今や閑散とした長久保宿の中心にあるバスターミナル=JRバス長久保営業所は、そんな各方面からのバスが集う中心地となっており、本当に人口密度が低い山村エリアにしては意外にも頻繁に (?) バスが姿を現します。このうち、大型車が入る上田・大屋行きは主にエアロスターの天下となっているそうですが、私が訪れたときに昼寝をしていたのは西工ボディが昼寝をしていました。そして、長和町巡回バスとして運行されている車両はガラポンくじ状態! 2枚目の画像は、姫木平中央から戻ってきた西工ボディで、どこまでも100円乗り放題のコミバスでこんな車両にありつければ相当ラッキーな話ではないか?!と思ったのでした。