鶯歌で遭遇した車扱貨物列車を撮影したという本シリーズ前回の記事では、「移動にあたり極めてスペシャルな区間車の旅を楽しんだ」と記しましたが、具体的には何と……鶯歌から乗った基隆行が釣掛EMU400でやって来たのです♪♪ この南アフリカ製車両、1994年に初めて台湾を訪問した際には、パンタグラフを装備した車両に乗ったところ異様に静かで、「何だよこのつまんねぇ電車……。こんなのではなくボロい旧客に乗りたいんだよなぁ……」と文句タラタラだったのですが、世の中無知であることほど、恐ろしく恥ずかしく勿体ないことはありません (滝汗)。この車両、パンタグラフ付きの車両には「EP」と標記されていますが、これは単に電力を供給する「Power」を意味するに過ぎず、モーターは付いていませんので、「EMC」と標記された先頭電動車に乗らなければ何の意味もないのです。しかも当時は非鉄につき、この電車が釣掛式であるとは全く想像すらつきません (^^;)。というわけで、10年少々前に鉄活動に復帰してからというもの、EMU400については乗ったり撮ったりする度に内心懺悔しまくりです (笑)。
したがって、突然やって来たEMU400に乗るにあたっては、反省の意味を込めて立席乗車をするかというと……そんな殊勝な心がけであるわけありません。そもそも休日日中の台北に向かう区間車は混んでおり、途中駅から座るなどということは不可能です。むしろ、最初から立つつもりで、扉が開くやいなや問答無用で8連のちょうど中間・編成どうしの連結部分に向かったのでありました (笑)。貫通扉つきの運転台どうしが向き合った際、ケチな会社は貫通路を封鎖したままですが (例えば小田急顔が一般的であった頃の小田急)、親切な会社は幌を装備しているわけで、そのために超ゴツい幌付き顔も存在するという点で、ファンにとってはフレンドリーであります。台鉄は後者! そして、目論み通りに中間封じ込め運転台の位置に立ち、正面扉を少し開くと……をををっ♪発車と同時に盛大な釣掛サウンドが響き渡って参りました……v(^O^)v しかも、駅間がそれなりに長い台鉄では結構飛ばしますので、かなり長時間ノッチを入れっぱなし♪♪ そして極めつけは……板橋近辺から突入する長大な地下区間♪♪♪ まさに昔の銀座線的なノリを20m級の大型釣掛車で味わえてしまうという……! 極めつけは、客が大量下車した後の台北~松山~南港間! 駅間が非常に長いため、あたかも山岳トンネルを釣掛でブッ飛ばすかのような激しい快感を味わうことが出来るのです……(*^O^*)。
嗚呼……これだから台鉄趣味はやめられません♪
しかしながら、楽園は何時までも続かないのも世の習い。南アフリカ製のこの電車は元々数が余り多くなく、部品供給面で難があるためか、いつもお世話になっておりますKucing様によりますと既に稼働車両の比率はかなり下がっており、所属区である新竹では雨ざらしの車両も少なくないことから、この車両に当たるのは相当ラッキーな部類に入るとのこと……。朝から台北近郊の沿線でずっと乗り撮り鉄していた私の目算でも、基隆~新竹のあいだで運用に入っていたのは、私が乗った列車も含めて8連2~3本といったところでしょうか。そして、このたび「スネ夫」EMU700以上にマスクがとんがった最新型の通勤電車EMU800が落成し、日本から輸出されたとのことですので (量産車は台湾車両での製造となることでしょう)、2扉・釣掛・8連の場合中間に運転台あり……と、台北近郊の通勤輸送に不適合となったかの感が強いEMU400の先行きは間違いなく長くはないでしょう……。この夢のような釣掛通勤電車の宴を、日本の隣国で味わうのは、まさに思い立ったが吉日なのかも知れません。
正面ドアに取り付けられた南アフリカ製の銘板。台湾と南アフリカがともに国際的に孤立していた時代の名残でしょうか……。
運転席。結構スゴい位置にマスコンとブレーキハンドルがあるような。
「車両故障でSOSの場合にはこちらに電話してね♪」
こんなところにもいわゆる「萌えキャラ」!……台鉄恐るべし! (^^;
こんばんは、コメントありがとうございます~。
台北と松山の間でこの電車の釣掛サウンドをご体験でしたら、ある意味で旧客などよりも十分濃厚な体験をされたことになりますね。恐らく10年後には「昔は良かった」という話題のネタの一つにはなるでしょうから……。